年商3億円、パンと日用品の店「わざわざ」代表・平田はる香 長野から健やかにビジネスするコツ

「わざわざ」代表、平田はる香による初の著書

 公共交通機関のない山の上にありながら、年間3万人以上が来店、自費出版が9千部完売、年商3億円。都会でうまく生きれずに、長野の地へ移住した1人の主婦が移動販売から始めたパンと日用品の店が、多くの支持を集めている。

 長野県東御市の超人気店、パンと日用品の店「わざわざ」店主・平田はる香の初の著書『山の上のパン屋に人が集まるわけ』(サイボウズ式ブックス)が、4月28日(金)に発売された。

 どこで売る?(どこでお金を稼ぐのか)→ 駅前の立地がいい場所ではなく、公共交通機関のない山の上。何を売る?(何をお金に変えるのか)→ 菓子パンで太ったお客さまを見て、商品を食事パン2種類に。誰に売る?(誰からお金をもらうのか)→ テレビの特集で押し寄せたお客に対して、「来ないでください」。非常識にも思えるこの経営の根底にあるのは「自分が健やかに働けること、自分の店に来てくださる方が健やかでいられること」という考え方だった。

 本書の「はじめに」には、こんな文章がある。「おかしいことからは逃げ出して、あるいは向き合うべきことに向き合って。その積み重ねで、今の私が、今の「わざわざ」があるように思います。」――パン屋が人間らしい生活をできないのはふつう、売上を長時間労働でカバーするのはふつう、利益を出すために人件費を削るのはふつう、お客さまに「NO」と言えないのはふつう、成功のためにはヒエラルキーに従うのがふつう……そういった、生きる中でぶつかる世間の「ふつう」に対する違和感に1つずつ向き合いながらつくられてきたのが「わざわざ」。山の上のパン屋に人が集まる理由は、「わざわざ」の正直すぎる姿勢にあるのかもしれない。

 ブックデザイナー・吉岡秀典さん(セプテンバーカウボーイ)による造本プランで、本文用紙には廃盤になる紙を使用。「ゴミになりそうな、余っている資源を活かす」という「わざわざ」のものづくりのルールにのっとり、「廃盤が決まった2種類の書籍用紙を組み合わせて」本文ページに使用している。通常、廃盤が決まった紙は再生紙となり、その過程でCO2が発生するが、そのまま使用することでCO2の排出を抑えている。また用紙の価格についても、正規価格で購入して使用。今後、本文に使用する用紙は、「その時々で廃盤になる紙」を利用する予定となっており、快適な読書体験の妨げにならない範囲で、重版ごとに用紙が変わっていく予定だという。

書誌情報

定価 :1,760円(本体1,600円+税10%)
判型:四六判並製
頁数:244ページ
発行元:サイボウズ式ブックス
発売元:ライツ社
発刊:2023年4月28日
企画:あかしゆか
構成:土門蘭
ブックデザイン:吉岡秀典(セプテンバーカウボーイ)
写真:若菜紘之
印刷・製本:藤原印刷
ISBN:9784909044440

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