【漫画】男性の視線を集める「あざとい同僚」の素顔とは? 等身大の女性を描いたSNS漫画が話題

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

及川由美(以下、及川):昨年まで商業媒体で漫画の連載をしていたのですが、テーマが重めな作品だったため、身近な人にもっと気軽に見せることのできる作品も描きたいと思い、本作を創作しました。

 作品のテーマを考えていたとき、女性が集まってダラダラと話していた内容がすごく面白かった事を思い出して。これを漫画にしたら、周りの友人たちにも楽しんでもらえるのではないかと思い、女性の世界を題材に本作を描こうと思いました。

 また異性からチヤホヤされる女性が登場する漫画の多くは、あざとい女性が何らかの制裁を受けるというものでした。そうではなくて、あざとい系の子もよく見るとこんな一面もある……というような、等身大でリアルな女の子を描きたいと思い本作を制作しました。

ーー本作ではヒメちゃんがあざとい女性として描かれていたキャラかと思います。

及川:ヒメちゃんを裁くような事はしない事、説教臭い描写は避ける事を意識しました。反対にあまり美化しないようにも気をつけました。ヒメちゃんが良い人にも悪い人にもならないように、バランスに気を付けて何度も描きなおしました。

ーーかの子ちゃんを描くなかで意識したことは?

及川:かの子ちゃんも同じように、周りにいそうな人として描くことを意識していました。

 悪い男とつきあう漫画の場合、女性が男性をぎゃふんと言わせるスッキリ系の漫画が多い気がして。ただ実際は「なんでこんな男性と付き合ってるんだろ」と話しながら、なんだかんだ別れずに過ごしている人は多い。そんな等身大の子を意識して描きました。

ーー本作は男女問わず多くの読者から共感の声が上がった作品であったかと思います。

及川:問題を抱えた主人公が困難を乗り越える事で主人公が成長し、読者はカタルシスを得るといった流れが漫画の基本的な作りだと思います。ただ自分自身を振り返ると、年をとってもあまり成熟しているとは思えないし、それでもそれなりに生きてきたので。成長も解決もない作品も描いてみたいと思いました。

 そんな物語が読者の方に受け入れられるかわからなかったのですが、一定数の読者の方に理解してもらえたことが意外でした。

ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。

及川:物心がついたころから漫画は好きでした。社会に出てからは漫画とは関係のない仕事をしていたのですが、その仕事がすごく嫌で。その仕事を辞めたいという一心で漫画家になったというところがすごく大きいです。

 稼ぐためという部分は確かに大きいですが、漫画家を目指すなかではじめて賞をいただいたり、雑誌に名前が載った際の感動は代えがたいものであり、自分の創った世界を肯定してもらえる喜びは大きかったです。

 漫画をつくることの喜びをこれからも得ていきたいので、できる限り漫画家は続けさせていただけたらと思っています。

ーー今後の目標を教えてください。

及川:現在頂いている依頼も以前の連載作品と同じくサスペンスものとなっていますが、『ヒメちゃんとかの子ちゃん』のようなテイストの作品もありだという話も出ています。Twitterで息抜き程度に本作のような短編作品も投稿しつつ、次回作も頑張りたいと思います。

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