漫画家に負担が大きすぎる週刊連載は本当に必要か 部数減少が続く少年漫画誌はどうなっていく?

漫画家に負担が大きすぎる週刊連載

 現在、刊行されている週刊少年漫画雑誌は「週刊少年ジャンプ」「週刊少年マガジン」「週刊少年サンデー」「週刊少年チャンピオン」の4誌である。これらを総称して“4大漫画雑誌”“4大週刊少年誌”などと呼ぶことがある。2023年2月27日に日本雑誌協会が発表したデータによれば、それぞれの漫画雑誌の発行部数は以下のようになっている。

「週刊少年ジャンプ」 …約126万部

「週刊少年マガジン」 …約44万1000部

「週刊少年サンデー」 …約17万1818部

「週刊少年チャンピオン」 …部数未詳(日本雑誌協会にデータがないため)

※いずれも、2022年10月〜2022年12月の3ヶ月毎の平均印刷部数。

 かつて「ジャンプ」は1994年12月に発行された1995年新年3・4合併号で約653万部という歴史的な発行部数を記録したことがあったが、約28年が経ち、その5分の1以下に落ち込んでいる。それでも毎週100万部以上を発行しているのは驚異的だが、週刊少年漫画雑誌の需要そのものが激減していると見て間違いない。

週刊連載を読者は求めているのか?

 週刊連載はいち早く続きを知りたい読者にとっては美味しいシステムであったが、漫画家に負担が大きすぎるのがネックである。部屋に長時間籠って仕事をするため、肉体的にも精神的にも辛い。毎週締切がくるプレッシャーも大きい。実際に漫画家が精神を蝕まれた、過労で倒れたなどの話は多く聞く。さらにアシスタントを3~4人雇い、仕事部屋を借りるとなれば、それだけで毎週の原稿料は消えてしまう。

 それでも、雑誌も単行本も売れていた時代は良かった。週刊連載のメリットはすぐに単行本が出るため、印税が入るスピードも早い。大手であればかつては新人の単行本でも初版3万部、多ければ5万部ということも珍しくなく、漫画家は印税で連載の赤字を補填できた。しかし、現在は単行本の初版が1万部を切ることはザラで、3,000部という例も聞く。これでは印税で赤字が補填できず、漫画を描けば描くほど赤字になりかねない。

 90年代までは、漫画を一秒でも早く読むべく雑誌の発売日に子どもたちが書店に押し掛ける光景が見られた。現在はどうだろうか。『ONE PIECE』などは雑誌よりも単行本の初版部数の方が多い状態だし、他の漫画も然りである。

 こうした状況において、週刊連載は時代に合わなくなったシステムという話もあり、そもそも必要かどうかという意見も上がる。

 雑誌は人気漫画を目当てに買った読者が新人の漫画を読んでファンになり、新人の単行本も売れるという好循環があり、格好の宣伝の場であった。

 そのため出版社は苦しい中でも雑誌を維持していたのだが、もはや雑誌にかつてほどの影響力はないとみていいだろう。昨今の漫画のヒットの法則といえば、アニメ化を機に単行本がバーッと売れたり、漫画好きのインフルエンサーや芸能人の紹介で重版がかかる例が多い。対して、雑誌がきっかけになることは稀と言わざるを得ない。

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