『のだめカンタービレ』作者が絶賛 『宇宙の音楽』は新たな吹奏楽漫画の金字塔となるか?
もちろん、音楽的才能があっても指揮者としてすぐに活躍できるわけではない。零のイメージする吹奏楽にはまだまだほど遠い。それでも思うままに野外で演奏するシーンでは、読みながら息を飲んでしまった。風が、音が、肌をかすめる感覚をおぼえる。
前途多難。でも、だからこそドラマが生まれていく予感がする。きっと『のだめカンタービレ』の千秋真一のごとく、曲者ぞろいな仲間たちに翻弄されながら、共に成長していく姿が見られるのではないだろうか。そのなかで愛すべきキャラクターや、心にしみる音楽との出会いも待っているかもしれない。
そんなワクワクとした気持ちで1巻を閉じる。そのときの読者の瞳は、もれなく零や水音のようにキラリと光が差し込んでいるのではないか。そして嬉しい敗北感に包まれていることだろう。