お天気キャスター・駒木結衣、初フォトエッセイ「不安」と「挑戦」で揺れた日々「四季を楽しむ感覚をみなさんと共有したかった」
気象情報番組『ウェザーニュースLiVE』でお天気キャスターを務める駒木結衣が、自身初のフォトエッセイ『空を結ぶ』(ワニブックス)を1月に発売した。これまでの生い立ちから、日々の暮らしや仕事のことなど、全36編の書き下ろしエッセイを収録。地元・仙台で過ごした18歳までのプライベートショットや、特技である剣道・書道シーンにも挑戦した撮り下ろしグラビアなども掲載されている。
話をもらった当初は「消極的な気持ちばかりが膨らみました」と、冒頭から本作を書き進める上での不安な心境が吐露されているが、ひとつひとつのエッセイを読んでいくと、生活の中にある何気ないエピソードを楽しそうに語る彼女の姿が目に浮かんでくる。発売から1ヶ月ほど経ったタイミングで、彼女自身に本作について話を聞いた。(とり)
何度も書き直しました
——初のエッセイ本の発売、おめでとうございます! 早速、本作を出すことになった経緯を教えてください。
駒木 「エッセイ本を出して見ませんか?」とお話をいただいたのがきっかけだったのですが、実は「すみません、私には書けないです」と、一度お断りしていたんです。私にどれほど語れることがあるのか、自信がなくて。
でも、なかなかいただけるお話でもないので、やっぱり挑戦してみたいかもって。担当編集さんのお力添えもあり、何とか一冊に完成になりました。。今は、みなさんのもとに届けられてホッとしていると同時に、挑戦して良かったと心から思えています。
——書き始める前は不安が大きかったんですね。読ませていただくと、駒木さんの声が聞こえてくるような柔らかい文章で、楽しげに語られている印象を受けたので少し意外です。
駒木 本当ですか? そう言っていただけて安心しました。それこそ初めは、だいぶ文章が堅かったんです。どうしても「文章を書こう」と思うと、かしこまってしまうといいますか。ただ、そういった文章だとエピソードの温度感が伝わりづらいし、何より読むのが辛くなってしまう。そう編集さんからもご指摘を受け、普段の喋り口調に近い言葉遣いを意識して文章を整えていったんです。
昨年の夏に書き始めて、最終的にすべての原稿が完成したのはクリスマス頃でした。いちばん最初に上げた原稿ですら、最後の最後まで何度も書き直しを重ねたんですよね。われながら、半年近くもよく頑張ったと思います(笑)。
自分の気持ちを正確に伝えるためにじっくり言葉を選びながら文章を整える作業は、楽しくもありました。『ウェザーニュースLiVE』の収録では、瞬時にコメントを出さなければならないので、自分の気持ちとは若干ズレた言葉選びをしてしまうことも少なくないんです。まぁ、それが面白い方向に転ぶこともあるんですけど(笑)。その点、時間をかけてピタリとハマる言葉を探すことができたと思います。本作では、自分の気持ちを整理できて、スッキリしましたね。
書いて、撮られて
——当初はエッセイを書くことに不安もあったとのことですが、いちばん最初に「これなら書けるな」と思ったテーマは何だったんですか?
駒木 季節にまつわるお話ですね。いちばん初めに「においで感じる季節の移り変わり」というタイトルのエッセイが掲載されているのですが、仕事柄、自分の思い出話を交えながら季節の移り変わりについて語る機会が多いので、とても書きやすかったです。そうして春夏秋冬の思い出を辿るうちに、だんだん幼少期の思い出が蘇ってきて、生い立ちの話に繋がっていった、という感じでしたね。
——季節って誰にも身近なものですけど、日々を忙しなく過ごしていると、ただ「暑い」「寒い」とネガティブに捉えてしまいがちになると思うんです。でも本作を読ませていただくと、そんな日々の中でこそ、季節ごとの良いところを楽しむことが大事なんだと感じましたね。
駒木 ありがとうございます。四季の移ろいを楽しむ間もなく一年が過ぎてしまった……という経験は私にもあります。ただ、キャスターのお仕事を始めてからは、確実に季節や天候との距離が近くなりました。私がそれらを楽しむ感覚を共有していかなきゃと、常々そう思いながらお仕事に取り組んでいたので、本作でもお伝えすることができて良かったです。
——撮り下ろしグラビアのお話についても聞かせてください。ハウススタジオでくつろいだり、屋外でアクティビティを楽しんだり。普段、こういった撮影はなかなかないですよね?
駒木 そうですね。初めての経験で緊張しましたけど、カメラマンの藤本(和典)さんが楽しい現場を作ってくださったおかげで、撮影中はずっと笑いっぱなしでした(笑)。普段のスタジオにいる私とは違った表情が見られると思います。