人口300人の限界集落は食人文化のある村だった……恐ろしくも悲しいホラー漫画『ガンニバル』

『ガンニバル』が不気味でおもしろい

グロ耐性がない人にも勧められるカニバリズム

 こういったタブーを取り扱っているのを理解しているからこそ、描き方や表現には細かい配慮が見られる。カニバリズムをテーマにした作品の成功は、受け手側の趣味嗜好やグロ耐性に大きく依存するし、そもそも一般大衆受けするテーマではないのでグロ描写に頼りがちだ。

 だが、『ガンニバル』は設定が一捻りされているから、ビジュアルのグロさを強調したりエスカレートさせずとも不気味さを維持できる。また、ドラマパートがしっかりと書かれているため、村人を“単なるカルトじみたサイコ集団”ではなく悲しい運命に翻弄された人々に着地させている。読後感も悪くないので、カニバリズムを扱っていながらグロ耐性がない人にも勧めやすい作品だと言えるのではないだろうか。

 なお、『ガンニバル』はDisney+でドラマ化された。漫画ならではの表現や切り込んだテーマかと思っていたが、実写化しても原作の良さを維持している。原作を読んだら、ぜひドラマ版にも挑戦してみてほしい。

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