『HUNTER×HUNTER』連載再開後、ジン=フリークスは活躍する? ジョーカー的存在の爆発に期待したい理由
昨年12月で「週刊少年ジャンプ」での週刊連載を終え、新しい掲載ペースを模索している人気漫画『HUNTER×HUNTER』。休載の多さ・長さにかかわらず熱量の高いファンがいまも多く、物語の続きを心待ちにしている。
現在進行中の「カキン王国王位継承戦」の複雑さから、「ついていけない」という読者の声も散見されたなか、約4年ぶりに進んだ10話分の連載で大きな盛り上がりを見せた瞬間があった。それは作品の初期から存在感を示してきた「幻影旅団」の過去が描かれたことだ。休載が長くなれば、話の筋を追いづらくなり、リタイアしてしまう読者が出てくるのも仕方がないところだが、こうして「お馴染みのキャラクターが活躍する/掘り下げられる」展開があれば、再び追いかける意欲がわいてくる。
そんななかで考えたいのが、主人公ゴン=フリークスの父で、作中最強クラスの実力を持つハンター・ジン=フリークスの活躍だ。
主人公がコンスタントに登場していれば物語の筋は追いかけやすく、そもそもゴンの登場はいつになるのか、という話もあるが、その姿が最後にきちんと描かれたのはコミックス33巻に収録された345話。「ジャンプ」への掲載は2014年6月16日発売号で、実に7年半前だ。現在のゴンは念能力を失い、故郷のくじら島でいわば“療養中”であり、ここから本編にカムバックするには、本人の状況としても、「暗黒大陸(に向かう巨大船)」という舞台を考えても、まだまだ踏むべきステップが多い。
ゴンに代わって父親の役割を果たす……というわけではないが、ここで活躍に期待したいのがジンだ。現在進行中のエピソードを「暗黒大陸への道中」と捉えれば、ジンは最初から大きくかかわっており、ゴンの復帰より現実味がある。
ジンは作品の初期段階から大きな存在感があり、しかしいまだに底が見えない謎多き人物だ。作中最強クラスの実力者(※ハンター協会前会長・ネテロいわく「念能力者としては世界で5本の指に入る」)であり、「一人で何でも解決できる」ジョーカー的存在になり得ることから、例えば「キメラアント編」に登場していたらバランスを崩し、少年漫画史に残るような質の高いエピソードにはなりづらかっただろう。つまり取り扱い注意なキャラクターではあるが、ひとつ間違えば人類が滅ぶレベルの“厄災”が待つ暗黒大陸に向かうなかで、活躍の舞台は整ってきたといえるのではないか。
ジンは暗黒大陸を目指す一連のエピソードのなかで、異常なまでに機転が利き、おそらく念能力ではなく単純な実力で一度くらった打撃技をコピーできてしまい、また噂どおり「一国の大統領並み」の財力を持っていることも明らかになった。依然として実力の底は知れないが、一方で、勝手気ままな言動ゆえに思ったほど人望は厚くなく、少なくとも神格化された「伝説」のような存在ではないこともわかっており、これも本編での活躍のハードルが下がっていると思える要因だ。
ジンがカキン王国王位継承戦にかかわってくるとすればどのような形になるのか。あるいは幻影旅団との邂逅を果たしたときにどんな化学反応が起きるのか。クラピカと深くかかわれば、復讐とは違う目的を与えてくれるのではないかーーと、そんなことを考えながら連載再開を待ち、複雑な物語にシンプルな楽しみを作っておきたい。