【漫画】ポンコツアイドルを推しているのは俺一人だけ!? ユニークな「推し」を描いたSNS漫画が話題
――いきなりですが、年始に風邪を引かれていたことを報告するイラストが可愛かったです。
キシリモ:ありがとうございます。もう万全なんですが、久々にこじらせてしまい……もうすっかり完治しました。
――よかったです。さて本作には多くのRTやいいねが集まっていますね。
キシリモ:思っていたよりも反響があります。続けていると1話目がバズっていても、2作目3作目で数字が落ちることが多いと思うんですよ。でも最新のものまで万単位のでいいねが付いて、感想のリプライが100件くらい来て驚きました。Twitter漫画だと「ありがとう」みたいな画像でリプライを送るミームというか、ノリがあるのですが、本作に関しては特に多いなという印象です。
――制作の経緯も教えてください。
キシリモ:第1話の4ページ目に、ヒロインのうるみんとオタクの奥田君がアップになる場面があるのですが、この「照れている女の子と、彼女が照れるようなことを真顔で言う男の子」という構図を描きたいなとお風呂に入りながら思ったのが最初のきっかけです。
あと「一方的に溺愛してる男の子と、恥ずかしくて素直に受け止められない、だけど本音は嬉しい女の子」という関係性も個人的に萌えというか、たぎる組み合わせでしたね(笑)。いつも「どうやったら描きたい絵がフィットする話になるか?」と考えています。
――うるみんのモデルはいるんですか。
キシリモ:モデルはいないのですが、私自身が今までアイドルコンテンツにハマってきた人生だったんですよ。アイドルを育成するソシャゲでも推しがいて、ひとりのファンとして奥田君の気持ちはわかりますね。だから彼に推し活で抱いた感情を反映させているかもしれません。
――キシリモさんもポンコツアイドルがお好き?
キシリモ:私が推しているアイドルはまた別です(笑)。でも「こういう子がいたら思わず推してしまうだろうな」と考えてキャラクター設定はしています。あとバラエティ番組で、とあるグループでダンスに付いていけないけど、本人は真剣そのもので熱心に取り組んでいる子を見て「うるみんってこういう感じかも」と感じました。上手くなくても一生懸命なら伝わるんですよね。
――ちなみに「推し」という概念について、キシリモさんはどう思われますか。
キシリモ:自分の人生が明るくなるような存在かなと思ってます。あらゆる情報やコンテンツがある社会で疲れてしまうけど、その人の活動を見ているだけで、前向きな気持ちになれるような存在が「推し」なのかな。
人によっては推しと恋愛関係になれたらと思うかもしれませんが、私に関しては「推しが高尚すぎて自分の隣に置きたくない」みたいな感じです。神過ぎるんですよ。「自分如きがそんな神とどうかなるなんて、この世界の理に反している」と思いますから(笑)。私は「推しの吸っている空気になりたい」タイプの人なので。
――影響を受けた作家さんなどは?
キシリモ:恋愛ならこれ、ギャグだとこれ、とキメラ的に影響を受けていますね。こういう類の質問でよく答えるのは漫画『SKET DANCE』。私のなかのギャグとシリアスのバランス感は全部これで学んだなと。内容としてはショートコント的な話が多いですね。私は芸人の滑っている瞬間を見ると、お腹が痛くなってしまうので、お笑い番組が観れないんです(笑)。だから、この作品でボケとツッコミのテンポ感を掴むことができたと思いますね。
――では今後『ダメドルと世界に一人だけのファン』はどのように展開していきますか。
キシリモ:まだ見切り発車のところがありますが、うるみんと奥田君を観てくださる方がいる限り、皆さんに尊いと感じてもらえる作品を描きたいです。そこからいかに物語としての展開を工夫していけるかを考えていければと思います。