東大・京大、Sラン私大や医学部出身者まで……作風からは意外? 高学歴すぎる漫画家たち
漫画界の巨匠・手塚治虫は大阪帝国大学附属医学専門部在学中にデビューし、のちに奈良県立医科大学で医学博士号も取得している。そうした経験が、『ブラック・ジャック』や『陽だまりの樹』などの医学を題材にした漫画に繋がっているのは間違いないだろう。手塚のほかにも、漫画界にはアッと驚く高学歴な漫画家がたくさんいる。
日本の最高学府の東京大学は、出版社や漫画の編集者には何人も人材を輩出しているが、漫画家は決して多くはない。それでも、『伊賀野カバ丸』の亜月裕、『はぐれアイドル地獄変』の高遠るいなどが卒業生として知られる。また、異色の存在では『姫乃ちゃんに恋はまだ早い』のゆずチリは、東京大学卒業生による東京大学をテーマにした漫画を描いた稀有な存在である(『漫画学科のない大学』)。
東京大学の漫画関係者としては、『美味しんぼ』原作者の雁屋哲がもっとも著名ではないだろうか。アニメ関係者ではスタジオジブリの故・高畑勲も東京大学卒である。
京都大学からは『神のみぞ知るセカイ』の若木民喜や、『風の大地』を手掛けた坂田信弘が有名。若木は在学中に新人賞に入選している。中退者だが、西田敏行主演で映画化もされた『星守る犬』などの村上たかしも入学している。アニメ関係者ではアニメ監督の山本寛や、数々のアニメソングを生み出しているヒャダインも卒業生である。
一橋大学は小説家を多数輩出しているが、漫画家はどうだろうか。真っ先に名前が挙がるのが『だめんず・うぉ~か~』の倉田真由美と、『ママレード・ボーイ』の吉住渉である。倉田は、大学入試の前日に出版社に持ち込みをしていたという伝説がある。なお、当時は少女漫画を描いていた。
慶応義塾大学は『ギャラリーフェイク』の細野不二彦、『ミスター味っ子』の寺沢大介、『美少女戦士セーラームーン』の武内直子は現在の薬学部にあたる共立薬科大学を卒業している。中退者には『西洋骨董洋菓子店』のよしながふみがいる。意外なところでは、アニメーターの美樹本晴彦や、美少女ゲーム原画家のべっかんこうも卒業生だ。
早稲田大学は漫画家を多数輩出している。やくみつるがとくに有名だが、『あたしンち』のけらえいこ、『課長島耕作』の弘兼憲史、『ギャートルズ』の園山俊二、『姫ちゃんのリボン』の水沢めぐみ、『ぼくの地球を守って』の日渡早紀、『地獄先生ぬ~べ~』の作画を担当した岡野剛も卒業生である。風刺漫画からナンセンス漫画、少年、少女漫画など幅広い分野に人材を輩出しているのも早稲田大学の特徴だろう。
ほかにも、漫画家初の国会議員の赤松健は中央大学卒だし、常に『HUNTER×HUNTER』がネットを賑わせる冨樫義博は地元の山形大学を卒業している。弘兼憲史の妻でもあり『東京ラブストーリー』が大ヒットした柴門ふみは、お茶の水女子大学の卒業生だ。
京都精華大学のように、漫画を教える大学や、学問として研究する大学が増えてきた。漫画は日本の文化として国内外から高く評価され、海外にも膨大な読者を抱えている。将来は国立大学にも漫画学部、もしくは漫画学科が開設されるかもしれない。芸術系の国立大学には開設されてもおかしくないと思う。