【漫画】体が氷になる奇病に蝕まれた少女は、兄と春を迎えられるのかーーSNS漫画「冬が長い村に住む兄妹の話」が尊い

着想はポケモンカードから

――『雪花』を制作した経緯について教えてください。

藤千華さん(以下、藤):本作を描く1年前には、私の中でネタはできていたと思います。ポケモンカードが好きなのですが、『ユキメノコ』というポケモンカードの「春が来てしまったから さようなら」という説明文が切なくて、印象的だったのでそこから着想を得ました。

――7年に一度春が訪れる冬しか来ない世界、という設定が印象的でした。春を待つ切実な思いに説得力が出る期間ですが、なぜ7年なのでしょう?

藤:パッと思いついたのが“7年”だったことに加えて、響きが良かったからです。「人間は3と7という数字が好きだな」と個人的に思っているのですが、「3年だと流石にスパンが早すぎだな」と。

――“氷化病”という病も切なくフックのある設定でしたね。

藤;氷化病は漫画などに登場する架空の病気を参考にしながら、「氷になってしまう病気があったらドラマになるのではないか」と思って創作しました。

雪の魔女は蛾がモデル

――登場人物の設定についてはどのように考えたのですか?

藤:ストーリーから作成したので、「登場人物はストーリーについてきた」という感覚です。名前も途中で決めています。そのため、モデルは特にいません。

――雪の魔女は怖さもありながら、どこか艶やかな印象でした。

藤:雪の魔女は『オオミズアオ』という蛾がモデルにしました。白くて綺麗で、もふもふしていて好きなんです。冬に活動している蛾ではないのですが、フォルムや色から採用しました。話し方は気づいたらあの話し方になったので、練っているというよりは「自然とその話し方になった」という感じです。

――雪花の食事にかき氷が出されていました。

藤:冷たいものしか食べられないので、かき氷しかないと思いました。あの世界では基本的に、氷は探せばすぐ見つかるため、アイスなどもないと思います。そもそも、普段雪ばかり降っている村なので、氷を食べる習慣は根付いていないように思います。かき氷という言い方自体、もしかしたらされていないかもしれませんね。

ハッピーエンドなのか

――春を迎えた時、これまでの雰囲気のギャップがすごかったです。

藤:冬のシーンは光をなるべく入れないようにして、雪の書き込みを少し増やしたりなどしています。一方、春のシーンは逆です。特に春を迎えるシーンは光を入れています。花をたくさん描いているのも、明るく感じる要因の1つではないでしょうか。ちなみに、描いている花も全て種類を決めています。

――ハッピーエンドと言って良いのか、考察の余地が残るラストでしたね。

藤:果たして「この2人が幸せに暮らせるか」と言われると、2人次第な気がします。ただ、作者の私としては「大丈夫なんじゃないかな」とは思っています。どのような困難があっても乗り越えていける気がします。

――最後に今後の活動目標や野望を教えてください!

藤:描きたいものをこれからも描いていけたらなと思います。目標はいろいろありますが、その第一歩としても、「まずは読み切りを何本か描ければいいな」と考えています。

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