『ラブライブ!』『Angel Beats!』『シスプリ』を生んだ『電撃G's magazine』。休刊ロスを吹き飛ばす30周年記念号の魅力
美少女ゲームなどを扱ってきた雑誌「電撃G's magazine」(以下、「G's」)の創刊30周年を記念した感謝号が12月27日に発売される。
「電撃G‘s magazine」を引き継ぐWEBサイト『G‘sチャンネル』
表紙を飾るのは、「G's」から生まれた2大コンテンツである『ラブライブ!』の高坂穂乃果と『シスター・プリンセス』の可憐で、ファン垂涎のコラボ表紙といえそうだ。この絵はイラストレーターの伊能津が手掛けたもの。伊能津は『ラブライブ!』シリーズの公式イラストレーターを務めたこともあり、感謝号に相応しい人選といえるだろう。
注目の誌面には、往年の美少女ゲームやアニメの愛好家ならたまらない記事が目白押しだ。『ラブライブ!』と『シスター・プリンセス』の原作者である公野櫻子のロングインタビューのほか、クリエイターや関係者から寄せられたメッセージも収録されるという。
そして、最大の見どころが、イラストレーターによる描きおろしイラストだろう。公式Twitterによれば、Na-Ga、樋上いたる、ささきむつみ、七尾奈留、べっかんこう、鈴平ひろ、西又葵などのイラストを収録するという。いずれも美少女ゲームのみならず、現代の日本文化を創造したと言っても過言ではないイラストレーターばかりだ。
なお、「G's」の本誌は2022年10月28日に発売された2022年12月号を最後に、休刊になっている。1992年12月に「電撃PCエンジン」(1993年2月号)として創刊されて以来、約30年という歴史を重ねてきた。30年目の節目で休刊となってしまったものの、こうした感謝号が発売されることからも、熱心なファンの存在がうかがえるし、編集者の思いいれの深さがよくわかる。
リアルサウンドブックで何度も紹介しているように、「G's」の歴史は美少女ゲームの隆盛の歴史そのものであり、さらに同誌の投稿者から数々の漫画家やイラストレーターが輩出されたことも意義深い。『ラブライブ!』は雑誌の枠を超え、日本のアニメ文化を象徴するコンテンツとなっている。そうしたメガヒットが、1冊の雑誌から生まれたことも驚きである。30周年という節目の年に、「G's」が日本文化に与えた影響の大きさを検証していくべきだと思う。