戸田恵梨香と松坂桃李 日常を綴った本やコメントから見えてきた理想的すぎる夫婦関係 


 湊かなえ原作の映画『母性』で主演を務め、大人になっても母親から自立できず、娘に愛情を注げない主人公を演じる戸田恵梨香。娘役で共演する永野芽郁が「怪物」と評したその怪演ぶりに注目が集まる中、戸田が11月28日に第一子妊娠を発表した。

 そんな戸田の初トークエッセイ『彼女』が12月20日にワニブックスより発売となる。本書は、2021年1月から戸田にインタビューをスタートし、想いを馳せたいくつかの役柄や、心身ともに大きな変化が訪れた月日を追った珠玉の一冊だ。キャリアとプライベートの両軸で、いま、一つの転機を迎えている戸田の“現在地”を知れる重要な作品となるに違いない。

 1988年生まれ、現在34歳の戸田は子役からキャリアをスタートさせており、すでに芸歴は20年以上。中学卒業を機に生まれ育った兵庫から単身上京し、本格的に女優業を開始させた戸田はドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)や『ライアーゲーム』(フジテレビ)シリーズで脚光を浴びる。戸田といえば、その凛とした佇まいが印象的で、役の上でも芯の強さが滲み出ていることが多い。“ミサミサ”の愛称で親しまれた映画『デスノート』シリーズでの人気アイドル・弥海砂役や、『SPEC』(TBS系)シリーズで演じたIQ201の天才だが、変人の女性刑事・当麻紗綾役も一見癖のあるキャラクターではあるが、どこか一本軸の通った独自の世界観に魅力される。とくに2019年後期の連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)で戸田が演じた、男尊女卑の時代に女性陶芸家という険しい道のりをゆくヒロイン・川原喜美子の生き様はときに摩擦を生みながらも、多くの共感を呼んだ。戸田の役に対する驚異的なまでの集中力と役の持つ信念が合わさったとき、そこには目が離せないほどの凄まじいパワーが生まれるのだ。

 どんな役に対してもありったけの魂を注ぎ、常に役者として最適解を出し続けてきた戸田はまるで職人のよう。年齢や性別を問わず誰もが憧れるその揺るぎない強さはどこから来るのか。今月20日放送の『日曜日の初耳学』(TBS系)にて本人はその理由を語った。戸田は6歳のときに阪神・淡路大震災に見舞われ、その際に身を呈して家族を守った父親の姿を見て「私も家族を守っていかなきゃ」という思いが芽生えたそう。それと同時に、「勝手に背負っちゃってた部分はあって。でも、結婚したことで家族に対しての向き合いも楽にしていいんだなと思ったし、共有してくれる人がいるんだ! と思うと頑張らなくていいとようやく思えるようになりました」とも語っている。

 戸田は2020年12月に同じく俳優の松坂桃李と結婚。二人は2015年の映画『エイプリルフールズ』でW主演として共演を果たした。当時、番宣で二人が『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)に出演した際、戸田が「20〜30分無言でも平気」と、松坂と一緒にいるときの居心地の良さについて明かしていたのをよく覚えている。松坂もまた、裏社会を治める強面の刑事から情けないスーパーの店員まであらゆる役になりきる、演技の振り幅が広い実力派のひとり。だけど、本人は威圧感がなく、物静かで柔らかいイメージがある。

 そんな松坂が、人気絵本作家・長田真作とともに原案を担当した絵本をご存知だろうか。タイトルは『まろやかな炎』。ぼんやりと穏やかな日常を過ごしていたエリマキトカゲの“マロ”と、その前に突如現れた、ジェット機のように速く、ハチのように軽やかな“炎”の物語だ。対照的な両者が出会うことでそれぞれの内面に変化が生まれ、ふたりの関係性も徐々に変わっていく様を描いている。本書で松坂は“マロ”に自分自身を投影したようだが、戸田にとっては彼こそ“炎”であるように思う。松坂の存在は戸田の生き方に大きな影響を与えており、13日放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)で戸田は松坂と結婚したことで安心して眠れるようになったことを明かした。子供の頃から眠るときに「いつか死ぬんだ」という恐怖にさいなまされていたという戸田。だが、結婚後は「この人がいる」「一人で死なずにすむ」と思えて、気持ちが楽になったという。表現者としての情熱と人としての温かみの両方を携えた松坂はまさに“まろやかな炎”といった感じで、戸田に安心感と同時に強さを与える存在なのだろう。

 同番組で「いつかの子どものことを考えたら、やっぱり長生きしたいなとかって思う」とも語っていた戸田。そこから約半月後の妊娠発表となった。コロナ禍という世界的にも様々な変化を余儀なくされたこの2年、戸田はどんなことを考えながら生きてきたのか。その生の声をぜひ『彼女』で聞いてほしい。

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