『SLAM DUNK』で物議を醸す声優交代劇 他の国民的作品でのケースはどうだった?
『ルパン三世』といえば山田康雄。しかしそこには大きな葛藤も……
モンキー・パンチ原作で、アニメ化され、国民的人気を持つ『ルパン三世』。アニメでは山田康雄がルパン三世を演じ、その軽妙な語り口がキャラクターとマッチし「ルパン=山田康雄」のイメージが定着した。
ところが1987年に公開されたOVA「ルパン三世 風魔一族の陰謀」で、山田康雄らTVシリーズの声優陣が一新される。ルパンは古川登志夫が担当し、次元大介は小林清志から銀河万丈、石川五エ門は井上真樹夫から塩沢兼人に交代された。
古川は山田のイメージが強すぎるルパンを演じることに葛藤があったそうで、断るつもりだったそう。そして演じる際には山田に寄せることはなく、古川ならではのルパン像を作り、撮影に挑んでいたことを明かしている。
ルパンと銭形警部の壮絶なカーチェイスなど、作品の内容は好評だったこの作品だが、視聴者側はやはり山田康雄、小林清志、井上真樹夫のイメージが強かったようで、結局元に戻されている。ルパンの声優交代は、失敗例として語られることが多い。
山田康雄の死後、山田ルパンをものまねしていた栗田貫一が声優に就任。山田のテイストを継承しつつ、新たなルパン像を作り上げている。
『アンパンマン』ジャムおじさんはマスオさん役増岡弘からの希望で山寺宏一に
やなせたかし原作の『アンパンマン』アニメ版で、第1回からジャムおじさんを演じていたのが、『サザエさん』のマスオ役でも知られる増岡弘だ。
柔和で優しそうな声を持つ増岡とジャムおじさんのイメージはぴったりで、長年親しまれる。増岡は1988年から2019年まで演じ、同年に高齢を理由に降板を発表。その座を山寺宏一に譲り、大役を終えた。この交代も増岡による希望だったため、ネガティブな声は少数だった。
声優の一新はアニメが人気作品になればなるほどキャラクターと声のイメージが強固なものになるだけに、見る側が戸惑ってしまう様子。しかし、新しい世界が広がることもまた事実で、時が経過すると、徐々に後を受けた人物のイメージが定着していく。
単純に『SLAM DUNK』と声優交代劇と重ね合わせることはできないが、時が経過すれば、違和感を解消することも、できるのかもしれない。