〈スマホ認知症〉働き盛りに増えている、もの忘れ・うつ・体調不良……その原因と改善方法は?

脳過労を引き起こす原因と言われるだらだらスマホ 写真=Photolibrary

 長引くコロナ禍により、家で過ごす時間が増えた人も多いだろう。特にリモートワークが定着し、何かとパソコンやスマホをいじる機会も増えたはずだ。しかし、昨今、働き盛りの世代などを含め、体調不良を訴える外来が増えているといわれる。『スマホ脳の処方箋』(あさ出版)を著した医師・奥村歩氏は、「その原因はスマホです」と警告をしている。

 その体調不良は、認知症に似た症状がみられるという。奥村氏はそれをスマホ依存による脳疲労(脳過労)、すなわち「スマホ脳」によるものと指摘する。もはやスマホ脳は、日々のライフスタイルが原因であることからも、一種の生活習慣病といえる。

 奥村氏は、長年にわたって、スマホと脳の関係を医学的見地から注目していた。もちろん、スマホは適切に利用すれば問題はなく、これほど便利な機器はないだろう。しかし、スマホを触っていないと落ち着かない、スマホが手放せなくなっているという人は要注意だ。いわゆる「だらだらスマホ」や「ながらスマホ」は、脳過労を引き起こす原因なのだという。

 奥村氏は、こうした生活が普通になった現代人に警告を発する。スマホをいじりすぎるライフスタイルを継続すると、もの忘れはもちろん、「うつ」のリスクが3倍になることを指摘している。

 では、どんな人がスマホ脳に当てはまるのだろうか。チェックしてほしい。

・家にスマホを置き忘れると心配で仕方ない
・最近、無意識にスマホを触る時間が明らかに増えた
・家でも仕事でもすぐにスマホを手に取れる状態にしている
・目的もないのにSNSのチェックをしてしまう
・スマホのネット検索以外で、調べ物をすることがなくなった

 いかがだろうか。ちなみに、筆者はすべて該当していた。まさに、れっきとしたスマホ脳である。しかし、全部当てはまった人は決して珍しくないのではないか。

 スマホは日常生活はもちろんだが、ビジネスでも手放せなくなった。そのため、奥村氏によれば、スマホ脳に陥りやすいのは30~50代の働き盛りの世代なのだという。一度スマホを手にすると、スマホがない世界に戻ることはもはや困難である。それゆえに、奥村氏は「いかにスマホと上手に付き合うか」を考えるべきだと指摘する。

 では、スマホ脳を脱するにはどうすればいいのだろうか。詳しくは本書を読んでいただくとして、一部を紹介する。

・散歩やお皿洗いなどのリズム運動をする
・マルチタスクは優先順位をつけて行い、脳の疲労を軽減させる
・「自然」を感じてセロトニンの分泌を促す
・目的地までの道順をスマホで検索しないで移動する

 繰り返すが、スマホは有効に使えば有益な機器である。しかし、コロナ禍は依然として収束する気配は見えないことから、スマホ依存がますます高まりそうな気配である。そんな状況だからこそ、誰しもがスマホ脳になる可能性が高い、予備軍といえる。本書を手に、予防に努めてみてはいかがだろうか。

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