『ぼっち・ざ・ろっく!』主人公・ひとりの愛すべきキャラクターとは? 原作との比較から考察

『ぼっち・ざ・ろっく!』の魅力

 2022年秋季アニメとして放送・配信が開始された『ぼっち・ざ・ろっく!』(TOKYO MXほか)。アニメ『その着せ替え人形は恋をする』や「青春ブタ野郎シリーズ」を手掛けたCloverWorksが制作を担当しており、クオリティの高さも含め注目を集めている作品だ。

 原作は『まんがタイムきららMAX』(芳文社)で連載する同名作品であり、既刊4巻ながらアニメ化を果たした作品でもある(2022年10月現在)。そんな本作の魅力はどんなところにあるのか考察していく。

主人公・ひとりの独特な行動と思考

 文化祭で演奏することを夢見てギターの練習を続けた少女・後藤ひとりは、友だちが1人もできないまま中学時代を終えた。高校では絶対にバンドを組むと意気込んでいたものの、やはり友人をつくることに苦戦する。そんなひとりはギターの演奏者を探す他校の生徒・伊地知虹夏と出会い、急遽ライブに出演することとなる。

 人見知りなひとりの交友関係が少しずつ広がっていく本作において、ひとりは他の登場人物とは少々異なる行動を起こす。

 たとえば虹夏の(強制的な)誘いからひとりはライブに出演することとなるが、お客さんの視線に緊張してしまうためひとりは段ボールの中で演奏することとなる。いつも自宅の押し入れでギターの練習をしていたこともあり、薄暗く狭い段ボールの中でひとりは安心を覚え、ときにライブのMC風トークを披露する瞬間も見られた。

 また、ひとりは行動だけでなくおかしな思考も働かせる。

 虹夏たちとはじめて演奏を行った際に、ひとりはメンバーと息を合わせることができず、役に立つことができない自分を悲観し、ステージ上で自身の腹を切ることを提案した。バンドの活動費が足りないため他のメンバーはアルバイトのシフトを増やそうとするなか、ひとりは真っ先に自身の肝臓を売ることを思い浮かべている。

 極度の人見知りと天然とも言える価値観。この2つを合わせ持つひとりの独特な行動と思考は、作中で非常に新鮮なものとして輝きを放つ。そんなひとりのキャラクターは本作の魅力の1つであろう。

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