愛らしいメイドさんの絵、どんな色で塗れば魅力的に? 多くのクリエイターが悩む“配色のポイント”をプロが解説
チャンネル登録者数110万人超を誇る、プロイラストレーター・さいとうなおき氏のYouTubeチャンネルで「【超簡単!】色選びのコツ 5選」と題した動画が公開され、海外のクリエイターを含む多くの視聴者から反響が寄せられている。
「ポケモンカード公認イラストレーター」としても活動するさいとう氏は、視聴者のイラストに対して上達のためのアドバイスを送る「気まぐれ添削」と題した動画シリーズを発信中。2019年10月1日にチャンネルは誕生し、以降、着実にファン数を拡大させている。著書に『イラスト最速上達法』(玄光社)があり、こちらもわかりやすいと評判だ。
今回さいとう氏は、動画タイトルの通り、イラストを描く上での「色選びのコツ」を伝えている。近年はウェブトゥーンを中心にフルカラーの漫画も増加しており、イラストレーター・漫画家を目指すクリエイターにとって有意義なテーマだ。
冒頭、さいとう氏は「線を描くのは好きなんだけど、色がとにかく苦手」という悩み相談が多いことに言及。色塗りさえなければ絵を描くのが楽しいのに……という声に共感し、少年期から絵を描き続けてきたなかで、自身も色塗りが「大嫌いだった」とあらためて語り、解説をスタートした。さいとう氏はどんなポイントを押さえることで、色塗り/色選びが「大好き」になったのか。
プロの技術が惜しみなく伝えられる内容で、詳しくは動画をチェックしていただきたいところだが、一例を引用すると、「モノクロマティック配色/アナロガス配色」という手法を使うことだという。耳馴染みのない言葉だが、モノクロマティック配色は簡単で、ほとんどのお絵描きソフトに入っている「色相環パレット」を使い、色相は変えずに、明るさと鮮やかさだけを変えたカラーバリエーションで色塗りをする、という手法だ。
例えば、紺、青、水色(+白、黒)のように色相を統一させれば、派手さは出ないが、統一感のあるイラストに仕上がる。さいとう氏の実演を見れば、一目瞭然だ。自身の線画による愛らしいメイドさんの絵が、クールで落ち着いた印象に仕上がった。
この理屈を覚えた上で、次のステップとして、色相環の隣にあるくらいの近い色相でバリエーションをつける「アナロガス配色」に進む。例えば、青と紫のような関係の色味だ。確かに、モノクロマティック配色に比べて、統一感は失われず、鮮やかさが増した印象になる。いずれにしても、この二つの配色を覚えるだけでも、無限通りの色から最適なものを選ぼうとするより、選択肢の幅がグッと狭まり、彩色のハードルが大きく下がるだろう。
その他、「暖色と寒色を意識する」「モノクロにしたときのコントラストを意識する」など、実演を交えてわかりやすく伝えていくさいとう氏。絵を描くことが好きな人、イラストレーターや漫画家を目指す人にとって、実は難関となっている「色塗り」が、そう難しくないものに思えてくるからスゴい。
なお、海外にも同じ悩みを抱えるクリエイターが多いようで、動画コメント欄には外国語で感謝を伝える言葉が多く見られる。マンガ・アニメ大国=日本のトップクリエイターによる技術解説は、今後も注目を集めていきそうだ。「色塗り」に悩む人はもちろん、プロの発想や技術を知りたい人も、ぜひ動画をチェックしてみよう。
■参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=1JqOatL3tTM