本日アニメ放送開始! 厨二心を巧妙にくすぐる『陰の実力者になりたくて!』への期待

※本稿は『陰の実力者になりたくて!』序盤のネタバレを含みます。

 小説、漫画、そしてアニメと、「異世界転生」系作品の人気がシーンに定着して久しいなか、本日10月5日、今期の新アニメとして『陰の実力者になりたくて!』が放送/配信開始となる。

 小説投稿サイト「小説家になろう」で2018年1月から連載され既刊4巻、コミカライズ版も好調な本作。潔さも感じるタイトルからわかるとおり、主人公は、普段はまったく目立たず、しかし陰ながら物語に介入して圧倒的な実力を見せつける……という、「陰の実力者」に強い憧れを持つ少年だ。

 主人公でもラスボスでもなく、いわばジョーカーのようなキャラクターが好きな人、あるいは実際に、普段は物静かに過ごしながら、どこかで活躍してやろうと野心を燃やしていた人も少なくないだろう。

 魔術のある異世界に転生する本作の主人公、シド・カゲノーがそんな私たちと少し違うのは、「目立たない」ことにも、「実力を高めること」にも、過剰なほどに心血を注いで生きてきたことだ。最終的には「いくら鍛えても核爆弾には勝てない」と悟り、人知を超えたパワー(魔力)を手に入れるためにはどうすればいいかを真剣に考えた挙句、常軌を逸したトレーニングの最中に事故に遭い、現世を去ることになる。そして異世界へ、というのが物語の冒頭だ。

 その後、思いを遂げられなかった現世での経験や、転生に際して授かった強力なスキルをアドバンテージとして、異世界でのし上がっていく……というのが、異世界転生モノの王道パターンだ。シドも例に漏れず、胸のすくような「無双」を見せてくれるが、主人公とは思えない嬉々とした表情で悪党を切りつけたり、悪の教団の存在をでっち上げて「シャドウガーデン」なる秘密組織を結成したりと、常に「厨二的な展開」であることを読者に意識させるメタ構造が利いており、それが本作にファンがニヤニヤしてしまう所以だろう。

 いわば“ごっこ遊び”でスタートした「シャドウガーデン」が、そして知らず知らずのうちに本当の「陰の実力者」になっていくシドが、世界にどんな影響を与えていくのか。厨二心をくすぐられる気恥ずかしさも、圧倒的な実力者を見る爽快感も、少年漫画的な王道の“熱さ”も備えた期待作をチェックしよう。

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