『合コンに行ったら女がいなかった話』 男装女子との新感覚ラブコメディ漫画に心身ともに癒される

 ただ、男装蘇芳さんのサラッとかっこいいが標準装備されていることや、エスコート力や魔性力も桁違いなんだが、脇を固める琥珀(コハク)ちゃん、藤(フジ)さんもなかなかにハイレベルな子たちだ。

 琥珀ちゃんは肌が焼けていて髪が明るいせいか、ちょっとやんちゃでイケイケな感じもあるが、すぐに照れちゃう、めちゃくちゃ真面目でピュアなかわいいキャラ。この子はみんなで守らないといけない……と思わせられる、キュンを通りこして母性本能をくすぐられてしまうやつ。しかし、男装BARでは俺様キャラを演じようと頑張っているようで、そのギャップもいい。「すぐ優しくしない」と藤さんに俺様を教えてもらいながら、俺様は奥が深いと力説されているのもかわいい。あと、甘いものが好きらしい。かわいい。

 藤さんは、一見クールで無気力な感じもありつつ、根はオタクだ。趣味で「(原作が)バトル漫画の恋愛モノ(の同人誌)を描いている」「特殊な訓練を積んだ人しか買えない」(つまりはR-18のBL漫画)と、初心者には刺激が強いのでオブラートに包んだ言い方をしているが、常に参考になる男性モデルや構図を探してスマホのカメラ構えている。気づくと、「推しカプ」「上が攻めで下が受け」とか、ちょいちょいBL用語を出してきちゃうことも。絡みの参考になる写真を撮ろうとしているときとか、ちょっと試しに浅葱の手を拘束してみたり、そのまま押し倒してみたり……おっと、誰か来たようだ、と撮影に熱中してしまった藤を、さすがに琥珀が止めに来たこともあった(いいぞもっとやれ)、そんなキャラ。

 なんだかんだ初回の合コン後に連絡先を交換し、個別で会う機会があったり、みんなで遊びにでかけたりしていくのだが、それぞれの絡みがなんと尊いこと(合掌)。こんな私なんかが見てしまっていいんですか……追加でお布施をはらった方がいいかな、申し訳ないなというような、もう感情がはちゃめちゃぐちゃぐちゃ、でも性癖ぶっ刺さる感じで好き。

 男装姿に戸惑い、「ときめかないだろ」「友達だろ」と自身に言い聞かせつつも、感情がかき乱されて踊らされてしまう常盤たちの様は、見ていて爽快だなぁ……。そう感じるのは、面倒な駆け引きとかドロドロしたそういうのがないから、気持ちよく安心して読んでいられる、そして「尊い」を全身で浴びることができるのだと思う。最高に心身ともに癒され、健やかな気持ちになる漫画だ。

 最後に萩さんの言葉をお借りしよう。

「自分のトキメキが制御できないんだよぉ!!!」

 次巻も乞うご期待!!!

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