「ヴィジュアル系」とは何かーー気鋭の音楽ライター・冬将軍がその実像に迫った新刊『知られざるヴィジュアル系バンドの世界』

冬将軍が「ヴィジュアル系」の実像に迫る

 派手なメイクやファッション、パフォーマンスで観る者を圧巻し、1990年代には一大ムーブメントを巻き起こして、現在に至るまで独特な世界観で世の中を魅了してきたヴィジュアル系バンド。

 『ROCK AND READ』『ヘドバン』等で活躍する気鋭の音楽ライター・冬将軍がその実像に迫った新書『知られざるヴィジュアル系バンドの世界』(星海社新書)が、8月23日(火)に刊行される。

 そもそも、ヴィジュアル系とは音楽ジャンルを指す言葉ではない。しかしながら、日本のロックシーンは「ヴィジュアル系」を軸に発展してきた、と言い切ってしまっても大袈裟ではないだろう。本書では90年代にヴィジュアル系がどう誕生して、多くの人になぜ受け入れられ、なぜ世界がうらやむほどの「ジャパンカルチャー」となったのか、その独自の発展をバンドの世界に留まらず、ファッション、漫画などさまざまな分野を通して辿っていく。ロック好きも、そうでない人も、日本の音楽カルチャーへの理解がより深められる一冊と言えそうだ。

本書「はじめに」より(一部抜粋)

「ヴィジュアル系は偏見を持たれたり誤解されることも多い。メインストリームではなく、オタク文化と同様に一部の偏愛嗜好として見られているところもあるだろう。ゆえにヴィジュアル系をまだ知らぬ人にとってはまったく未知の異世界のことなのかもしれない。いや、異世界ではなく、深淵の闇といったほうが正しいか。だが、それがいいところでもある。良くも悪くも、そうした閉塞感があるからこそ、その深淵に堕ちてしまえば居心地の良さを感じることもあるし、『今に見てろ』と野望を抱いている節もある。それは演者はもちろんのこと、そのファンも同じなのである」(本書より)

本書で語られるアーティスト(バンド名一覧・順不同)

BOØWY、BUCK-TICK、SOFT BALLET、D‘ERLANGER、X JAPAN、hide、TOKYO YANKEES、LADIESROOM、ZI:KILL、LUNA SEA、GLAY、黒夢、L’Arc〜en〜Ciel、OPTIC NERVE、DIE IN CRIES、 THE MAD CAPSULE MARKETS、BLOODY IMITATION SOCIETY、COLOR、かまいたち、BY-SEXUAL、spAde、CRAZE、JUSTY-NASTY、STRAWBERRY FIELDS、SHAZNA、La’cryma Christi、MALICE MIZER、FANATIC◇CRISIS、Janne Da Arc、cali≠gari、PIERROT、DIR EN GREY、MUCC、蜉蝣、メリー、the Underneath など

本書目次

はじめに
#1 ヴィジュアル系がカッコ悪かった頃
#2 ファッションで辿るヴィジュアル系黎明期
#3 音楽要素で紐解くヴィジュアル系ロック
#4 サディスティカルでポジティヴなゴシックロック
#5 バクチク現象とヤンキーイズム
#6 東のX、西のCOLOR
#7 1993年「黒服系総洋楽化」インダストリアルな世界
#8 日本で生まれた独自のロック“ミクスチャーロック”
#9 ビーイングのJ-ROCKとBOØWYビートロック神話
#10 “布袋派 vs hide派”に始まった、シグネチャーギター物語
#11 hideとはいったい何者だったのか
#12 あの橋の上で逢いましょう ~バンギャルクロニクル
#13 ヴィジュアル系四天王とヴィジュアル系世紀末
#14 ヴィジュアル系がカッコ悪くなくなった今
おわりに
巻末付録 バンドプロフィール

著者プロフィール

冬将軍(ふゆしょうぐん)
音楽ものかき。音楽専門学校での新人開発、音楽事務所やレーベルで音楽制作ディレクターなど、原盤制作、ライブ制作、A&Rなど制作業務に従事。そのほかアーティストマネジメントにも携わる。現在はフリーランスの音楽ライターとして雑誌、Webで活動中。本書は音楽ライターとしての単著デビュー作となる。

書誌情報

『知られざるヴィジュアル系バンドの世界』
星海社新書刊
著者:冬将軍
発売:2022年8月23日(火)※お住まいの地域により発売日は異なる
定価:1100円(税別)
ページ数:304ページ

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「新作」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる