斉藤倫の新作『新月の子どもたち』生きにくさを生きる子どもたちへ贈る、希望と再生の物語

 詩人の斉藤倫の最新作『新月の子どもたち』が6月8日(水)に発売される。斉藤倫は、『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で、第48回日本児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞した注目されている詩人の一人。本書は待望の書き下ろし長篇となっている。

 斉藤倫は本書はについて下記のようなメッセージを寄せている。
「だれもがみんなそこにいたのに、おとなになると忘れてしまう「国」があります。そんな〈トロイガルト〉の旅は、つらくて、苦しくて、二度ともどりたくないくらい。でも、いつか、ほんとうに困ったときには、そこにいたみんなが、きっとたすけてくれるような、たいせつなばしょ。そんなお話を書きました。すごく長い時間がかかったので、世の中は、ずいぶんかわってしまいましたが、それでも、なにもかわらないようなことを書いています。ぜひ、みなさんも、レインたちといっしょに旅をしてみてください。」

 本書は小学校の高学年を対象とした作品だが、大人が手にとって読みたい言葉や版画はどれも美しく収められているのが特徴だ。

 挿絵を担当したのは、ゴム版画によるイラストレーションで書籍装画、雑誌の挿絵を中心に活躍している花松あゆみ。

「この物語の、少し怖くて鮮明な夢の世界と、モヤがかかったような現実の世界を、主人公の令くんの後ろで一緒に見ているような気持ちで絵を描きました。自分が何が好きか、何が嬉しいのか、本当はどうしたいのか。見えなくなってしまった自分の本当の声を、夢と現実とを行き来しながら見つけ出そうとする令くんたちの旅は、自分にとって大切なことは何かを思い出させてくれます。姿は見えなくても、そこにある。新月のように。これから自分の足で歩きはじめるたくさんの子どもたち、大人たちにも読んでもらいたい物語です」とのコメントを寄せている。

 書店員からのコメントも好評で「自分とは何か」という問いに対して、大人になった私が読んでもハッとさせられるような言葉が散りばめられていました。多感な時期の子どもたちの心の栄養となりうる作品だと思います」(幕張 蔦屋書店 後藤美由紀)といった声が寄せられている。子どもたちへのギフトや自分への心の栄養に。多くの人に共感を得られる作品である。

プロフィール

■著
斉藤倫
詩人。『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で、第48回日本児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞。主な作品に『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』『さいごのゆうれい』。絵本に『とうだい』(絵・小池アミイゴ/以上、福音館書店)、うきまるとの共作で『はるとあき』(絵・吉田尚令/小学館)。『のせのせ せーの!』(絵・くのまり/ブロンズ新社)などがある。

■画
花松あゆみ
イラストレーター。日本大学芸術学部デザイン学科卒、パレットクラブイラストBコース11期卒。ゴム版画によるイラストレーションで書籍装画、雑誌の挿絵を中心に活躍している。『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』(朝日出版社)や『月のこよみ』(誠文堂新光社)の装画など、書籍や雑誌等の装画、挿絵など多数ある。

書籍情報

『新月の子どもたち』
斉藤倫 著/花松あゆみ 画
・発売日:2022年6月8日(水)
・定価:1870円(税込)
・判型:188×128mm 上製
・頁数:312ページ
・販売:全国の書店などで販売
・対象:小学校高学年から

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