100万部突破の『満州アヘンスクワッド』 敵なのに目が離せない、関東軍憲兵隊伍長・長谷川圭人の魅力
100万部を突破したクライムサスペンス『満州アヘンスクワッド』(原作:門馬司/ 漫画:鹿子)。関東軍の兵士として満州にやってきた日方勇(ひがたいさむ)が、家族を養うために、アヘン密造に手を染めていく様子を描いた本作。
勇は、謎多き美女・麗華(リーファ)と手を組み、アヘンの密造から販売網の構築、そしてアヘンを巡る関東軍や中国秘密結社・青幇との戦いへと身を投じていく。この疾走感溢れるストーリー展開はもちろん、臨場感溢れる戦闘シーンが本作の魅力だ。また、その過程で仲間となる、日本人の少女・リン、四か国語を自由に操るモンゴル人・バータル、逃し屋の異名を持つロシア人のキリルなど、主人公の勇に負けず劣らず魅力的なキャラクターたちも見どころの一つ。
だが、そんな勇の仲間たちを凌駕するほど、強烈な魅力を放つキャラクターがいる。その名も長谷川圭人(はせがわけいと)。実は、勇たちからすると敵にあたる人物だが、それでもなお、目が離せない彼の魅力について紹介していく。
一言でいうなら狂気、関東軍憲兵隊伍長・長谷川圭人
関東軍の憲兵隊伍長である長谷川圭人。単行本8巻では表紙を飾った。そんな彼の任務は、アヘン密売を取り締まること。容疑者から情報を引き出す際は、さわやかで優しい雰囲気から一変、ためらうことなく残忍な拷問を行う。
拷問の過激さもさることながら、それ自体を楽しんでいるような表情やセリフが多く見受けられ、生粋のサディストとして描かれている長谷川。かと思えば、子どものようにはしゃいだり、可愛らしく笑ってみせたり、その掴みどころのなさが読者を惹きつける。そんな彼を一言で例えるならば「狂気」という言葉がよく似合う。