【漫画】家の近所の古墳、なぜGoogleで低評価? 実際に行ってみた結果が考えさせられる

ーー古墳が身近にあることの驚きと主人公の哀しさを覚えた作品でした。創作のきっかけを教えてください。

ののもとむむむ(以下、ののもと):よく通話をしながら作業をしているのですが、そのなかで古墳巡りが趣味の方がいらっしゃいました。「意外と近所に古墳はあるので調べてみてください」と言われ、実際に調べてみると自分の住む地域の周りにも古墳がいくつかありました。

 通話の内容や評価が星1つの古墳があったことはノンフィクションですが、コンビニが建っていたことはフィクションです。実際はコンビニではなくガレージが建っており、文化的なものを損ねているじゃないかというようなレビューがついていました。そこから着想を得て本作の創作に至りました。

ーー本作を描くなかで意識したことを教えてください。

ののもと:「古墳」と最後のページで描いた「憤り」の字面が似ていたことや、文明を利用しながら文明を批判するという滑稽さを表現できればと考えました。具体的には電子決済を用いて炭酸水を購入していますが、バリバリ文明の産物を利用しています。文明に憤りを感じながらも文明の産物を利用している矛盾を描きたいなと思いました。

ーー以前お話を伺ったとき(【漫画】亡くなった人を天使にする儀式とは? Twitter漫画『心を込めて心を砕く話』が深い)ではフィクション漫画を描いていたかと思います。両作品を描くなかで感じた違いは?

ののもと:特に自分の中ではこの作品と「心を込めて〜」の違いは意識していません。舞台が現実の世界や実体験が元になっているか否かの違いだけで、私の中では2作品ともフィクションの作品として描いています。強いて2つの漫画の違いを挙げるとするならば、古墳の漫画は「エッセイ漫画」として描きました。

 エッセイはノンフィクションと違って筋書きがあり、ある程度のドラマを盛り込んだ「フィクション」としての性質があると考えています。2つの違いを挙げるとするならば「創作」か「エッセイ」か、ということです。

ーー本作がTwitterに投稿されたのは同人誌の即売会である「コミティア」の開催日でした。

ののもと:コミティア自体を盛り上げたいという思い、そして自分が出店していることをアピールしたかったことからこの日に投稿しました。コミティアの会場からスマートフォンを用いて本作を投稿したのですが、投稿をきっかけに自身のブースに来ていただいた方もいらっしゃいました。

ーー創作活動をはじめたきっかけを教えてください。

ののもと:小さなころから絵を描くことが好きで、魚の図鑑を写し描いたりしていました。「週刊少年ジャンプ」の作品も好きだったのですが、高校生のときに西島大介先生の『ディエンビエンフー』を知って衝撃を受けました。

 ポップなキャラクターにもかかわらずものすごくグロテスクに戦争の描写が描かれていて、そのギャップにやられてしまって……。漫画でこんな表現ができるのかと知り、自分も描いてみたいと思ったことが描き始めたきっかけです。

ーー西島先生から影響を受けたものとは?

ののもと:『アトモスフィア』という作品があるのですが、少し難解なストーリーが展開しつつ終盤ですべて投げ出してしまう終わり方をするんですね。辻褄があっていないストーリーにあっけをとられた気持ちとある種の潔さを感じ、ストーリーだけにこだわらなくていいんだと思うようになりました。でも、それはちゃんとストーリーを構成して読者が理解できるからこそ輝くのだと思います。

 また西島先生の作品を知ったことで前衛的と呼ばれる作品も許容できるようになり、自分が見る作品の幅も広がりました。「それはそれで面白さがあるじゃん」と見つけるきっかけとなりました。

ーー今後の活動や目標を教えてください。

ののもと:読み切り作品が入選したので商業作家を目指し活動をしつつ、コミティアに出店するための活動を続けていきたいです。ただ、とくに本作のようなコミティアで出すために描いた作品はその時々の気分によって描いているので、具体的な展望を決めない方がうまく描けると感じています。

 そのため俗物的な目標としては創作活動のために利用する「Mac mini」と「iPad」が欲しいです。これらを購入できるお金を得られるように頑張りたいと思います。

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