少年ジャンプの落語漫画『あかね噺』はなぜ面白い? スピーディな展開から読み解く“考える主人公”の強み

 また、“考える主人公”である彼女は、兄弟子から「居酒屋でアルバイトをする」という一見不可解な課題を与えられたとき、「こんなことをして何の意味があるのか」などと一切思わず、その意図を正確に理解しようと努め、一直線に問題解決のヒントを掴みにいく(この“修行”のエピソードは、実に1話で完結する)。

 連載開始から日が浅く、物語を勢いづけるためスピーディな展開を求められている、という事情もあるかもしれないが、これがご都合主義の性急な展開に感じられず、朱音の賢さと前向きさ、そして「父の実力を証明する」という覚悟の深さを強調する効果をもたらしているのは、キャラクターの魅力と作話のうまさによるところだろう。

 純粋にサクセスストーリーとして楽しめるとともに、落語の関心のある読者にとってはさまざまな発見もある『あかね噺』。朱音が落語家としてどのように成長していくのか楽しみにしつつ、アニメ化・実写化も期待して見守りたい作品だ。

■『あかね噺』
https://www.shonenjump.com/j/rensai/akane.html

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「書評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる