おてんばお嬢様とカタブツ執事の日常ーーコメディ漫画『ことり文書』は心が温まる良質なドラマだ

漫画『ことり文書』レビュー

 さらには小鳥自身も、白石がいつも怒っているのはどういう理由からか、少しずつ身をもって理解するようになる。お互いを大切に思っているからこそ、小鳥はわがままを言うし、白石は厳しくなる。お互いに成長途中のちょっと素直ではない関係が見ていて微笑ましい。何事においてもまずは相手を知ろうとすることから。そして、知ろうとすることで自分を理解してもらえることに繋がり、信頼関係を築く第一歩として大事であると、あらためて考えさせられた。

 最後に、漫画タイトルの『ことり文書』。日常の記録だから「日記」でも良さそうとも思ったのだが、「文書」というのがこれまたいい味を出していると、勝手にニヤニヤ妄想している。もしかしたら、白石が小鳥の父親や母親へあてた手紙のような、だけどうまく書けずに記録=文書のようになってしまった、白石の堅物らしさを表しているようでもある。

 2巻は5月13日発売。続きが楽しみな漫画が、またひとつ増えた。

書誌情報

『ことり文書』ハルタコミックス~1巻
作者:天野実樹
出版社:KADOKAWA

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