『幽白』桑原と『H×H』レオリオはなぜカッコいい? 共通点と相違点からその魅力を考察
そんな二人だが、違いももちろんある。これは作品の特性でもあるのだが、「幽白」が蔵馬・飛影の登場後は四人そろって行動することが多いのに対し、「H×H」はゴンとキルア以外はハンター試験編とキルア救出編、クラピカとその宿敵である幻影旅団編を除くと個別に行動することがほとんどだ。
「H×H」でメインキャラ四人のハンターになった目的が異なることは、序盤から明らかにされている。「幽白」を見慣れた読者にとって、この別行動は少し寂しく感じることでもあった。しかし努力家のレオリオは、独学で「H×H」における特殊能力「念能力」を習得し、後に医大生になったことが明かされる。また伝説のハンターであるジンに伸びしろがあると認められるなど、彼はひとりでいるからこそ発揮できる力があるのかもしれない。
そんなレオリオと、ヤンキーでありながら勉強をして最終的に進学することになる桑原に近さを感じつつも、桑原と雪菜の恋愛も描写される幽白に対して、「H×H」ではレオリオだけではなくほかのキャラも恋愛描写がほぼない、という違いもある。「それどころではない」という危機的な状況が常にあるからなのかもしれないが、雪菜のためならなんでもできる桑原と、レオリオはやはり異なる個性を持った存在なのだろう。
桑原やレオリオの魅力は、読みながら実感することもあれば、読了後だいぶ時を経てから「性格がかっこいいキャラだったなあ」と思い出すこともある。もし自分の友人に桑原やレオリオがいてくれたら心強いと思う読者も多いだろう。自分の危機には何があっても駆けつけ、根性で戦い救ってくれる、素晴らしい友達になるはずだ。そんな実在しそうな雰囲気をただよわせていることもまた、桑原とレオリオの魅力である。