繊細に描かれる人の繋がりーー少年ジャンプ新連載『地球の子』は壮大な“人情SF作品”だ

繊細な心情描写に圧倒される

 1話での時間の流れに驚いたが、大きな違和感がなかったのは、令助とかれりの濃密な心情がきちんと描かれていたからだろう。

 どうしてかれりが令助を愛したのか。どうしてかれりが小惑星との対峙を決意したのか。

 大きな決断の影には、それぞれのキャラクターの心が余すところなく描かれている。

 かれりがいなくなったあと、衛に関する令助の決断においてもそうだ。衛にそばに令助がいなければならない理由が読者に伝わりやすい。さらに、ここに衛の心情も加わり始め、物語に厚みが出てくる。

 ストーリーは大事だが、物語を動かすのは人だ。人が行動を起こすときにどのような感情を抱いているのか納得ができなければ、違和感が生じてしまう。

 今後、令助も衛も大きな決断をしていかなければならないだろう。そのたびにどのような心が描かれるのか。大切に見守っていきたい。

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