インモラル系少女漫画の抗いがたい魅力 高校生の歪んだ関係を描く『アクトジジョウ』がゾクゾクする
インモラルとは、道義に反すること、不道徳であるさま、不品行であるさまをいう。
人には言えない、許されざる、道ならぬ恋、歪な関係。いけないことだとわかっていても、止められない。この人を好きになっても幸せにはなれないとわかっていても、満たされない何かを、埋め合わせるように求め合ってしまう……。
少女漫画·女性漫画にはさまざまなジャンルがある。インモラルもそのひとつだ。筆者は少し前までは純愛系やスパダリ(スーパーダーリン)溺愛系、ファンタジーものが読みたくなるサイクルにあったが、いまはもっぱらインモラルサイクルだ。たぶん、それなりに仕事もプライベートも落ち着いているので、逆にドロドロした刺激的なものが読みたい気分なのだろう、と解釈している。フィクションだからこそ、つい覗いてみたくなる。
今回紹介するのは、漫画で「インモラル」というジャンルがあることと、その抗いがたい魅力を知った作品だ。白泉社が運営するコミックアプリ「マンガPark」にて連載中の『アクトジジョウ』である。
学校では真面目でクールな優等生の春瀬清美。彼女の秘密は英語教師の成田先生が好きであることだ。そして、素直に自分の気持ちを言えず、叶わぬ想いに苦しむ清美の前に、クラスメイトである三谷仁が現れる。成田先生を想う気持ちを含めて、清美のことを受け入れてそばにいてくれる、自分を先生の代わりにしていいよと言ってくれる存在だ。三谷くんとの歪な依存関係からストーリーははじまるのである。
第一印象としては、三谷くんはクラスでも明るく爽やかで、思ったことをすぐ口に出してしまうような少し天然っぽいところもある男子高校生だ。清美が叶わない想いを抱えて自暴自棄になって落ち込んでいると、さりげなく励ましてくれる。反対に清美は成績優秀&落ち着いた雰囲気で、表向きはクラスメイトとも当たり障りない関係を築いている。だが、どこか達観しているような、ひっそりと影を落としているところがある。これからストーリーが進むにつれ、三谷くんのこの明るく爽やかなオーラにあてられて、清美も素直になっていくのかな……などと想像していた。
しかし、忘れてはならないのが、これはインモラルな少女漫画だということ。読み進めていくごとに、だんだんと二人の第一印象におけるイメージが変わっていき、しかも雲行きは怪しくなっていく……。
そもそも、個人的にはもやもやする点がいくつかある。まずは英語教師の成田先生だ。結婚していて、妻は妊娠中。ぱっと見は高校生なんかには目もくれず、夫婦円満という大人な印象だ。しかし、清美が先生の前では気持ちがダダ漏れになってしまう状況では、顔を近づけたり、他の生徒と比べて少しだけ特別な存在のように笑いかけたりしているような、どこか思わせぶりな態度がちらつく。これは天然たらしでやっているのか、気持ちに気づいてやっているのか……。後者だったら恐ろしい。