デビューできない漫画家の作品をプロがガチ添削すると? 隙のない原稿を作る技術がすごかった
読者に何を伝えたいか、そしてどうすればよりわかりやすく魅力的に表現できるかーー。漫画家を目指す人なら誰もがこの部分に、注力しながら作品作りを行っていることだろう。そうでなければどんなに絵が上手くても、独りよがりな作品になってしまう。
そんなことがよくわかる動画が、元週刊少年漫画誌の連載作家・ペガサスハイド氏のYouTubeチャンネルで公開された。同チャンネルの動画の多くは、視聴者から寄せられた一見上手な漫画やイラストについて、プロの目線で細かく添削するというもの。解説のわかりやすさとともに、あくまで本人の長所を生かしアドバイスが心地よく、自分では絵を描かない人も楽しく視聴できるのも、大きな魅力だ。チャンネル登録者数は15万人を超える。
2月20日に公開されたのが、「【プロ級なのに落選のワケ】漫画賞受賞&担当編集者つきでもデビューできない~週刊連載漫画家がその理由を教えます~#43」と題された動画。今回の添削希望者であるエナカさんは、タイトルにもある通り、漫画賞を受賞し、さらに担当編集者もついているそう。そういう意味では、将来有望の漫画家の卵といったところだろう。
しかしそんなエナカさんの悩みはズバリ「デビューできていない」ということ。そこで、今回ペガサスハイド氏に「この漫画は1ページ漫画賞に落選したものです。何が足りないんですか?」とアドバイスを求めたというわけだ。
エナカさんが作った1ページ漫画は漫画賞を受賞しているだけあって、さすがの画力。背景もしっかりと作りこまれてある。王道の作風といえるだろう。
一方のストーリーはかなりのホラーな内容だった。彼に溺愛する彼女が、彼のためにお弁当を作ってくる。唐揚げを一口食べ、あまりの美味しさに衝撃を受ける彼。しかし最後のコマでは衝撃のオチが描かれていた。なんとその唐揚は自身が材料だったのだ。「また作ってくるね▲まだ右足(おにく)あるから(※イラスト上はハートマーク)」と彼女のセリフが添えられていた。
まずペガサスハイド氏は「なんとも恐ろしい話ですね……ホラーですよ。おぞましい世界がこんなかわいいイラストで描かれているわけです」と語ってから、「絵がめちゃくちゃ上手いです。さすが新人賞を受賞して、担当編者者がついているだけあって、基本的なことは出来ています。セリフも読みやすいし、この2人がどこにいて、どういう距離感で話しているかもよく伝わってきます」と絶賛した。
ならばどこを手直しすればいいのか。ペガサスハイド氏は“細かい点”を指摘していった。まず「(1)男性と女性の顔の向きが全部同じ」という初歩的な部分について言及。さらに「(2)種明かしし過ぎ」と話した。つまり、最後のオチで読者に「ホラーだった」という衝撃を与えたいのに、途中途中でヒントになるような情報を入れてしまっているのだ。