2月22日は猫の日 癒し系だけにとどまらない「猫漫画3選」
新時代の猫漫画、来たる『ネオ・キャット』(青化/祥伝社)
爽やかなバカンス風景に、いろんな毛色の猫。洋雑誌みたいなおしゃれな装丁に惹かれて手に取ってみたら、たった1つしかない脳みそでは到底処理しきれない8つの短編が繰り広げられていたのが、この『ネオ・キャット』だ。
スポーツカーを乗りこなす、歌舞伎町のNo.1を競い合う、会社を経営する、パリコレに服として出演する……。猫の社会進出が進み、人と共存する世界観を描いた作品なのだが、「ともに生きる」の想像力が猫漫画の域を凌駕していた。紙書籍の帯に書かれていた「ねこ漫画の黒船到来」というコピーは伊達じゃない。
この突飛な世界観にあっと言う間に引きこまれてしまう。しかも「シュールだから」「不思議だから」という面白さにとどまらない引力が、同作にはあった。自分以外への勝手な期待やレッテル貼りなど、多様性が大事とのたまいながらも、なんだかんだ枠に縛られている自分自身がこの作品の中にも存在しているような気がしたからだ。
8つの短編すべてが、自分のなかにストンと落ちる作品ではないと思う。しかし生きていくなかでいつか、カチッとパズルのピースがはまるように、同作が人と猫の想像を越えた共存世界を通して伝えたかったことを理解できる日が来るかもしれない。この「いつか」が楽しみになる作品だ。
猫に感謝と慈しみを
猫の日は「猫と一緒に暮らせる幸せに感謝し、猫とともにこの喜びをかみしめる記念日を」という趣旨で制定されたという。
日頃から幸せを届けてくれる愛猫への感謝を思いだけでなく行動でも示したいところではあるが、自分のことにかまけて十分に遊んであげられていない、なんてことも珍しくない。猫漫画はそんな人間の怠慢を、見つめ直す時間もくれるようだ。
心の癒しとしてはもちろん、幸せな日々をくれる猫たちへの感謝と慈しみを再確認する意味でも、猫漫画を読んでみてはいかがだろうか。