北野日奈子が明かす、乃木坂46卒業への思い「いつの間にか後輩たちがグループを守る側に立っていた」
“北野日奈子らしい”を楽しめるようになった
――前作の発売から約3年。この間、北野さんのなかで大きく変わったことといえば何ですか?北野:1期の先輩方が卒業するにつれ、大好きな乃木坂46というグループがずっと続いていくために、自分に何ができるかを考えるようになりました。私、乃木坂46が大好きなんですよ。同時に、これからの乃木坂46を担っていく後輩たちも大好きなんです。だからこそ、私が乃木坂46を、後輩たちを守ってあげたい。大したアドバイスはできないにしても、いつだってみんなの味方でいたい。乃木坂46の根の部分を支えることが私にできることだって、思うようになったんですよね。今までは「絶対、選抜に入りたい!」って必死だったのに、いつしか選抜発表のときでさえ、名前を呼ばれる後輩たちの姿をどこか俯瞰的に見て、今後の乃木坂46がどんなグループになっていくかを分析しているほどです。
――後輩もたくさん加入されましたしね。
北野:そうですね。とにかく、周囲の環境が目まぐるしく変化する3年間だったので、私の考え方も自然と変わっていました。あとは、昨年3月に2期生ライブができたことも大きいです。アイドルとしてもうやり残すことはないなってくらい、2期生みんなで主人公になれた充実感があったんですよ。
――悔いなく2期生ライブを終えられたからこそ、アイドルとしての気持ちにも変化があったと。先日、北野さんも卒業発表をされましたが、やはりその充実感があってのことだったんでしょうか?
北野:それもありますし、私が守る必要もないくらい、後輩たちのなかで「乃木坂46を守りたい」って気持ちが芽生えているのを日に日に感じていたんですよ。特に、ひとつ下の3期生でいうと、表題曲でフロントを任されてもみんな堂々とパフォーマンスをしていますし、梅(梅澤美波)は乃木坂46の副キャプテンになりました。
これまでずっと、1、2期で乃木坂46を守っていくために後輩たちをサポートしていたのが、いつの間にか、後輩たちが乃木坂46を守る側に立っていた。それはつまり、うまくバトンパスができたってことじゃないですか。今なら安心して、後輩たちに乃木坂46を託せる気がする。そう思えたことで、私は自分の新しい人生を大事に生きていこうと決心できたんです。
9年間、卒業の二文字が頭をよぎる瞬間がないくらい、乃木坂46が大好きな一心でがむしゃらに活動していたんですけどね。大切な居場所から自ら去る決断をした自分自身に、我ながら驚いています(笑)。
――となると本作は、卒業を視野に入れて制作された写真集でもあるんですか?
北野:はい。卒業が決まったとき、スタッフさんから「写真集やらなきゃね」と言われたんですよ。ただ私としては、前作があるし2冊目はいいかなと思っていて。というのも前作は、休業から復帰したタイミングで出させていただいたこともあり、私にとっては、再び乃木坂46のメンバーとして頑張っていくためのお守りのようなものだったんですよね。だから、その一冊があれば十分だって。
でも、スタッフさんに「ファンの方への感謝の気持ちを込めて、2ndやるべきだよ」と言われて、私もその通りだと思ったんですよね。結果的に、私の楽しい思い出がひたすら詰まった一冊になったんですけど(笑)。形にできてよかったです。
――その話を踏まえると、先ほどお話されていた船の上で回っているカットを収録したのは正解ですよね。
北野:えっ、どうして今の話からこのカットに!?(笑)
――写りを気にせずに北野さんが楽しんでいる姿こそ、ファンの方がいちばん見たい北野さんなんじゃないかと思いまして(笑)。何も包み隠さず、開放的な気持ちでいるのが伝わってくるといいますか。
北野:あぁ、それでいうと私、素の自分を取り繕わずにアイドル活動をはじめちゃったなって、ずっと後悔していたんですよ。私は私のままで表に立っているから、マイナスな声も全て私として受け止めるしかないけど、少しでもキャラ作りがあれば、批判を受けても「まぁ、これは自分自身じゃないし」って逃げ道があったんじゃないかって。
職業柄、人からの見られ方を常に気にしていたんですよね。それこそ前作は、”夏のビーチで水着”みたいな明るい”北野日奈子らしさ”から逃れたくて、あえて寒い国に行きましたから。いわゆる”北野日奈子らしくない”ところも、私の一面としてあるんだってことを知ってもらいたかったんです。
思い返すと、いろんな私がいて当たり前だし、どんな私も私なんだと、自分自身を楽しめるようになったのは、この3年間で成長した部分かもしれないですね。本作は、私の分身と言っていいくらい、みなさんのイメージに近い”北野日奈子らしい”北野日奈子が写っているはずなので。
――前作のような、ひんやりとしたイメージも北野さんらしさ。本作のような、あたたかみのあるイメージも北野さんらしさ。両極端の2作があるというのは、乃木坂46卒業後の北野さん自身の支えにもなりそうですね。
北野:私もそう思います。同じスタッフさんが集結して、同じ人を撮っているのに、こうも見え方が違いますからね。前作は、乃木坂46で頑張るためのお守りで、本作は、卒業後の自分に勇気を与える宝物。この両方があっての、今の私です。
――両作あわせて見てもらいたいですね。では最後に、本作を手に取ってくださる方にメッセージを。
北野:前作を出したときは、長く活動をお休みしていたにもかかわらず、まだ私を応援してくださる方がいるんだと勇気をもらいましたし、本作も、発売を待ち望んでくださるファンの方の存在を感じて嬉しく思いました。本当に、みなさんの支えがあってここまでやってこられたと思っています。
もしかしたら、今後の人生で何かでつまずいてしまうファンの方もいるかもしれません。それでも、何につまずくかは分からないにしても、私の写真集をふたつ並べて見てもらえれば、できない自分も含めていろんな自分がいていいんだと、自分を認めるきっかけになるんじゃないかと思います。写真集ですし、言葉がない分、受け取り方は人それぞれになってしまうのですが、温度感は真逆でも、どちらも私らしい私が写っているのは間違いないので。本作が、手に取ってくださった方に勇気を与える一冊に育っていくことを願っています。
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