『SLAM DUNK』三井寿が何も恐れず3Pシュートを打ち続けられる理由 犬猿の仲だったふたりが強い絆で結ばれるまで
三井寿が3Pシュートを打ち続けられるワケ
さて、三井寿といえば、なんといってもインターハイの山王工業戦で、ヘトヘトになりながらも3Pシュートを打ち続ける凄絶な姿が、多くの読者の印象に残っているのではないだろうか。
試合後半、残り時間は約10分――長いブランクがあった三井は、相手チームのディフェンスに翻弄されたせいもあり、スタミナ切れでほとんど足が止まっていた。それでも、彼は、シュートを打ち続ける。
その三井の姿が感動的なのは、何も彼ひとりががんばっているからではない。スタミナ切れでボロボロの三井を信じ、赤木がスクリーンをかけ、宮城がパスを出す。万が一シュートが外れても、桜木が必ずリバウンドをとってくれる。さらには、(作中でそういう展開は描かれてはいないが)三井に相手チームのディフェンスが集中すれば、すかさず宮城はフリーの流川にパスを出すことだろう。
そう――三井寿が何も恐れず、3Pシュートを打ち続けられるのは、自らの“才能”を信じているからではなく、仲間への厚い信頼感があるからに他ならない。
先ほど私は、湘北バスケ部のことを、馴れ合いのチームではないと書いた。だがそれは別に、彼らひとりひとりが仲間のことを信じていないということではないのだ。
ちなみにかつての赤木は、三井のためにスクリーンをかけるようなプレイはしなかった(できなかった)ようだ。三井の方でも、そんな赤木にことあるごとに切れていた。それがいまはどうだ。犬猿の仲だったふたりが、強い絆で結ばれているではないか。
そのことを思えば、1年先になるか、2年先になるかはわからないが、現時点では何かと衝突し合っている桜木と流川の間でも、もっとスムーズにパスが通るようになるかもしれない。いや、三井と赤木にできたのだ。桜木と流川にできないはずはないだろう。