【漫画】魔法使いに憧れた少女、その代償は? Twitterで公開された壮大な物語の幕開けに期待の声
ーーまるで映画の予告編のような、これからはじまる物語に期待が膨らむ作品でした。漫画作品を描こうと思ったきっかけを教えてください。
熊谷ユカ(以下、熊谷):イラストレーターとして活動するなか「この人の作品だ」と思ってもらえる自分の特徴を出したいと思っていました。昔から物語をつくることが好きであったため、自分で考えた物語を絵の世界観としてつかったイラストの作品を描いていました。
ただ1枚絵だと物語の深いところまで表現できないと感じ、漫画である本作を描きました。漫画を描いたのは本作が2作品目です。
ーー漫画作品を描くなかで意識した点を教えてください。
熊谷:本作や物語をベースとしたイラストを描く際に、私は魔法使いのお話を描きたいと思いました。そのなかで魔法使いがかっこいいからなりたいといった理由ではなく、なにか消極的な思いから魔法使いを目指すお話を意識しました。
死が怖かったリリにとって、みな幸せそうな表情を浮かべていた魔法使いのお葬式から大きな衝撃を受けました。自分が亡くなったとき、周りの人には自分みたいに悲しい思いをしてほしくない。そんな理由から魔法使いを目指す女の子の物語を描きたいと思いました。
ーー終盤のモノローグは成長したリリアスの言葉であると捉えています。幼いころのリリアスと比べなにが変化したのでしょうか。
熊谷:リリにとって魔法使いになりたい理由が「死への恐怖」ではなくなったことが明確な変化だと思います。はじめは死から逃げたいという気持ちをもっていたリリが大人も死が怖いということに気づき、死を受け入れたリリの視点で物語後半のモノローグを書きました。
ーー魔法使いはウォーリアと呼ばれる点や、普通の人と比べ短命といった設定にした理由を教えてください。
熊谷:昔からファンタジー作品が好きで、とくに魔法使いが登場する作品に魅力を感じていました。魔法使いに関する物語を自分で描く際、魔法をつかうための代償があったら面白いかもしれないと思い、代償のひとつとして短命という設定にしました。
魔法使いの呼び名であるウォーリアは、英語で戦士を意味する「warrior」から考えました。舞台となる世界で魔法使いは戦士として崇められており、ただ魔法が使える存在ではないことを表す線引きとして、ウォーリアという別名で呼ばれる設定としました。
ーーウォーリアに選ばれることは喜ばしいことなのか、作品を読みながら考えてしまいました。
熊谷:ウォーリアは国のなかで称えられる存在であるため、子どものころはみんな憧れている存在だと思います。ただ自分がウォーリアになると短命であることや他の道を選べない点に葛藤をする人物もいるはずです。
リリはウォーリアに憧れていたキャラクターですが、貧しい家庭で育った子どもや、本気で空を飛びたい子、ウォーリアであったお母さんを早くに亡くし、ウォーリアになることに否定的な子などーー。色んな子どもがウォーリアになるため同じ学校に放り込まれ、ときに衝突し葛藤していくという構想はあります。
ーーこのシリーズの今後について教えてください。
熊谷:最終的な目標として、描けるところまで漫画作品で描いてみたいという思いはあります。ただイラストレーターとしてまだまだ力不足なのでイラストの制作に専念しようと思っています。そのなかで頭に浮かんだ情景をひとつひとつ絵にしながら、少しでも物語の世界観を届けられたらなと思います。
ーー熊谷さんがイラストレーターを目指そうと思ったきっかけを教えてください。
熊谷:もともと教育大学に通っていたのですが、明確な目標がないまま授業を受けていました。そのため大学で過ごしながら教員を目指す友人と話したりするなかで、私が本当にやりたかったことを悩んだときがありました。自分の好きなこと、そしてずっと続けても苦にならないことを探したとき、たどり着いたのがイラストレーターでした。
教員の道から進路を変更し、イラストの練習やお金に関する知識を学びながらなんとか活動しています。
ーーイラストレーターの道に進む決断をした際の心情について教えてください。
熊谷:大学の授業を受けるなかで自分は教員に向いていないなと思ってしまいました。自分の性格や特性を考えた際、誰かの前で何かをすること、大勢の人たちでなにかをつくることよりも、じっくり考えながら少人数でつくることの方が向いていると思ったからです。
1回きりの人生だから自分の好きなこと、自分に向いていることを仕事にした方が後悔しないんじゃないかと思い、イラストレーターの道を選択しました。本作のリリのように消極的な理由でイラストレーターを目指したのかもしれません。
ーー今後の目標について教えてください。
熊谷:今までは自分の世界観を確立することが目標でした。今は自分なりの世界観がかたちになってきたので、その解像度を深め、イラストや漫画としてよりよいかたちで、より多くの人に知ってもらえるように作品をつくりたいと思います。