ライターが選ぶ「2021年コミックBEST10」関口裕一編 漫画家への感謝の念を抱く作品たち

「2021年コミックBEST10」関口裕一編

2021年コミック・ベスト10(関口裕一)

1位 『ポーの一族 秘密の花園』萩尾望都(小学館)
2位 『ルックバック』藤本タツキ(集英社)
3位 『JUMBO MAX~ハイパーED薬密造人〜』高橋ツトム(小学館)
4位 『ダンダダン』龍幸伸(集英社)
5位 『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』武論尊・原哲夫/倉尾宏(コアミックス)
6位 『フットボールネーション』大武ユキ(小学館)
7位 『怪獣8号』松本直也 (集英社)
8位 『怪獣自衛隊』井上淳哉/企画協力:白土晴一(新潮社)
9位 『fish -フィッシュ-』三宅乱丈(KADOKAWA)
10位 『逃げ上手の若君』松井優征(集英社)

■島田一志 編 『ルックバック 』という収穫
■飯田一史編 1位は読み切りの少女マンガ!
■ちゃんめい編 『フールナイト』が描く衝撃の世界観

ふつうに選んだら『ルックバック』しか勝たない状況

『ルックバック』藤本タツキ

 2021年の私的マンガベスト10を選んでみた。リアルサウンドブックでは『キン肉マン』や『刃牙』シリーズの記事ばかり書いているけれど、他の漫画も読んでいるということをご理解いただきたい(笑)。選考の基準は、「この漫画を読めたこと、作者が描いてくれたことに感謝」という部分を重視した。

 今年はふつうに選んだら『ルックバック』しか勝たない状況であることは間違いない。この作品に関しては散々語り倒されてきているので、いまさら私が書くこともないのだが、素直にこの作品に巡り会えたこと、藤本タツキという才能を存分に発揮する場所を提供してくれたマンガアプリ「少年ジャンプ+」に感謝である。

 それぞれの作品に対して語っているとキリがないので、この中でも特に意味合いの異なる、感謝の気持ちを覚えた2作について語ろうと思う。まずは6位の『フットボールネーション』。アマチュアチームが世界基準で通用する体の使い方を身につけた選手を集め、天皇杯でジャイアントキリングを続けて勝ち上がっていくというサッカー漫画だが、実はこの作品、作者が大病を患って2020年8月から1年ほど休載をしていたのだ。

 漫画は作者あってのものであり、ふだん何気なく、当たり前のように読んでいる作品も、いつなんどきそれができなくなるかは分からない。大武先生が病をいったん乗り越えたこと、そして連載を再開してくれて続きが読めることに感謝の意を表しての6位である。

※以下、ネタバレを含む箇所がございます。

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