約束を交わした日をきっかけに動き出す…… 大人のこじらせラブストーリー『結婚予定日』

大人のこじらせラブストーリーを見届けよう

原作小説もあわせて、より心情の変化を楽しむ

 本作の原作はエブリスタ(https://estar.jp/novels/25321008 )で公開されている西原衣都氏の小説だ。コミカライズを読んで、どうしても続きが気になり原作小説を読みはじめた。

 小説では、佳子と結城の交互視点で書かれており、より2人のキャラクターや心情がそれぞれ際立っている。コミカライズでは多少設定が変わっている部分もあるが、何気ないような一コマであっても、実際はこういう心情からこのような行動をしたのかと小説を読んでわかるのが楽しい。

 例えば佳子がフラれた日、2人が話をする1話目。飲み物と一緒に結城が買ってくれたクッキーを、佳子が「こんな時間に食べたら太っちゃう!?」と悩みながら食べるシーンがある。そこで結城は「では、私が半分請け負います」と佳子の手からひょいとクッキーを取って食べてしまう。ちょっとドキッとする場面である。小説を読んでみると、この一連の行動には不器用ながらも、結城の素直な気持ちや誠実さがより表さていて、個人的に好きなシーンのひとつだ。

 コミカライズと小説を照らし合わせて読むのもよし。小説版は2019年に完結していて、さらに他の登場人物のサイドストーリーもいくつかある。佳子視点のみ、結城視点のみで読むのもよしだ。みんながそれぞれの想いを抱え、大人だからと遠慮してしまったり、一歩踏み込めずにいたり、すんなりと思うようにはいかないもどかしさ、ちょっとしたすれ違いなどが丁寧に描かれていて、メインのストーリーを補完してくれる。

 出てくるキャラクターも本当に気のいい人ばかりだ。きっとどのキャラも好きになる。コミカライズでも佳子と結城のストーリーがメインではあるが、今後は結城と大学からの知り合いで、会社の同期でもある吉良のストーリーもはじまるようだ。吉良も結城と同じく超絶イケメンで、チャラそうにみえて佳子と結城の仲を案じてフォローをしてくれる、器用で面倒見のいいキャラクター。筆者的には、本作の一番の陰の功労者ではないかとさえ思う。

 さまざまな大人のこじらせ恋愛の展開がどのように描かれるか、最後まで見届けたいところだ。

■書誌情報
『結婚予定日』1~3巻(マンガBANG!)
原作:西原衣都 漫画:ムノ
出版社:Amazia

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