「山田ああああああああ」と叫ばずにはいられない、ネトゲからはじまる恋 『山田くんとLv999の恋をする』が面白い
人生2回目?本当に高校生?なLv999の山田
出会った当初は「はぁ」「そうすか」「まぁ興味はないすね」が口癖だった山田。表情が乏しいので、わかりにくいところもありながらも、実は周りをよく見ていて気遣いのできる男の子である。はじめて茜と会ったときには、コーラ3杯おかわりするほどなんだかんだと愚痴に付き合い、茜本人は気づいていない怪我の心配をする。自転車にぶつかりそうになる茜をすっと自分に引き寄せたり、不安を取り除くように先に言葉をかけたり、ふとしたときの無自覚に優しい一面も心をくすぐられる。
口数は少なくとも、行動で示してくれる誠実さも、ちょっとした可愛らしさも兼ね備えているなんて……茜に対して、年下の山田の方が手加減しているようにもみえる。本当に高校3年生? 顔もカッコ良くて、学力も偏差値がえぐい上に、今まで彼女がいたことはない、恋愛に興味ないって嘘だろ……と思ってしまう。恐ろしいよ山田……(作中でも茜が言っていた)。
山田の時折みせる斜め方向からの破壊力ある一言(もはや天然なのか?)にも注目してほしい。まだ単行本には未収録の回だが、とあるカフェで茜と横並びで話をしているシーンは必見。
あれこれ話しをする茜をよそに、あくびをしながら頷く山田。「聞いているふりくらいしてよ」と言う茜に対する山田の不意打ちセリフに、隣の席にいた女性が「ゴホッゴホッ」「ん”ん”っ」とむせ込んでしまう。「この隣の女性、全読者なのでは?」と心のなかで同情した。もちろん筆者も「山田ああああああああ」と叫んだ。もはやこの作品、筆者のなかでは『Lv999の山田に全読者が恋をする』である。
特に4巻の後半からは山田が覚醒。色気とか色気とか……もろもろ覚醒後の山田が気になって仕事が手につかないという筆者と同じ気持ちの方は、漫画アプリ『GANMA!』で最新話を読む方法もあるが、もう後戻りはできないから、その覚悟を。ちなみに単行本の最後にも、破壊力抜群な山田が拝める描きおろし番外編があるため、ぜひこちらも併せて読んでほしい。
■書誌情報
『山田くんとLv999の恋をする』1~4巻(MFC)
作者:ましろ
出版社:KADOKAWA