『東京卍リベンジャーズ』『代紋TAKE2』 …… アウトローとタイムリープの親和性の高さを考察

なぜアウトローとタイムリープは親和性が高い?

 TVアニメ化に加えて、実写映画化もされてヒットを飛ばすなど、勢いはますます盛り上がるばかりの『東京卍リベンジャーズ』(和久井健)。2017年、底辺の生活を送っているフリーターの花垣武道が、何者かに駅のホームに突き落とされた瞬間、人生の絶頂期だった中学2生当時の2005年にタイムリープ。彼女である橘日向と直人の未来、そして自分自身の運命を変えるべく、暴走族・東京卍會に飛び込んでいき、奮闘していくという物語だ。

 ケンカもの・抗争ものとしての面白さに加えて、何より多彩なキャラクターたちの個性とその絆、そして黒幕探しというミステリーの要素で魅せる本作。物語のギミックとしての一番大きな要素はタイムリープものというところにあるが、ここで往年の漫画ファンが思い出すのが、1990年から2004年にかけて連載された『代紋TAKE2』(木内一雅・渡辺潤)だ。同作では、うだつの上がらない暴力団組員・阿久津丈二が、10年前の1979年にタイムリープ。負け人生のきっかけとなった大学生とのケンカの場面から人生をやり直して、金の代紋をつけて街を闊歩すべくヤクザとして頂点を目指すという物語だ。

 作品としてのベクトルは違っても、こちらもやはりタイムリープにしてアウトロー。そしてどちらも根強いファンの多い人気作となっているが、なぜ不良もの×タイムリープがこんなにも読者を惹きつけるのか。一見ミスマッチだからこそ、そのギャップ自体が面白さになっているというのもあるだろう。しかし、ヤンキーとSFという組み合わせは実は親和性が高い。それを教えてくれるのは、それこそ往年のヤンキー漫画だったりもする。

アウトロー×タイムリープ

 近年のヤンキー漫画をめぐるムーブメントで浮かぶのは、連載終了から11年目にしてTVドラマ化、加えて劇場映画化もされて大ヒットとなった『今日から俺は!!』(西森博之)。もちろん同作はタイムリープものではないが、映像化にあたって監督・脚本の福田雄一は、時代を原作の1988年~1997年当時よりもさらに昔の1981~1982年に設定。そう、時代をさかのぼっているのだ。

「完全な時代ものにしたほうが世代感ギャップの楽しさが出ると思ったんです」「子どもが見たら、“分からないけどなんか面白い”っていうものを画面に出したかったんですよね。そうすると、80年代初期くらいが一番いい気がして。おそらく子どもからしたら、物珍しい格好をした三橋と伊藤は“仮面ライダー”みたいに見えるんじゃないかと思ったんです(笑)」(『今日から俺は!!劇場版』劇場パンフレット)

 もっと言ってしまえば、昔話にしてしまうことで今のモラルやコンプライアンスに反することもかろうじて描き出せるというのもあるだろう。裏を返せば、もはや昔話でしか、いや、昔話でさえ武勇伝は許容されない時代だ。過去に立ち戻って、若さを取り戻したことで、主人公たちは大暴れする。もちろんそこにはもう後悔はしたくないから、また自分を変えたいという思いもある。成長のドラマは漫画の神髄でもあるが、そういう意味ではタイムリープものこそ人間の成長を描くのにふさわしい題材はない。

 バカができて、がむしゃらになれた時代。そんな過去に対する憧憬がアウトロー×タイムリープにはある。本当は戻れない時代で、未来を知っている今となっては決してそれが長くは続かないと分かっている時代。それだからこその特別な何か。くさいことを言えば、青春に対する憧憬だ。



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