浅野いにお『うみべの女の子』で“中学生の性”を描いた理由とは? 作品に込められた“体温”

『うみべの女の子』に感じる体温

 8月20日に公開された映画『うみべの女の子』では、体を重ね合う小梅と磯部や、小梅に暴力的な言葉をぶつける磯辺など、体温を得たふたりの姿があった。

 浅野氏も映画で磯部を演じた俳優「青木柚」に対し「磯辺って、マンガの中では今でいう『陰キャ』だったんですけど、青木さんが演じたことによって、陰キャは陰キャでも、ものすごい凶暴性を持った陰キャになっていた。でもそれはちゃんと、青木さんが磯辺というキャラクターを自分の解釈で上書きしてくれた結果だと思うんですよね。」とコメントしている(参考:浅野いにお、自作『うみべの女の子』を語る「結論も教訓もないけど、物語はつづいていく」)。

 また『うみべの女の子』の映画化を記念して、浅野氏の手掛けた小梅と磯辺のイラストが1枚ずつ公開された。友人と共に地元の海岸を訪れた高校生の小梅のイラストと対象的に、どこかの都会で息をする磯辺の姿が描かれている。

 体温を感じる映画から、磯部の満たされていなかった心情を。そして、少し大人になった磯辺のイラストから、海の近くの小さな町で小梅と過ごした日々が磯部にとって、物語の終わりでなかったことを感じた。

 

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「書評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる