“仕事系学園漫画”の面白さとは? 『あおざくら』『銀の匙』が描くリアリティと青春

“仕事系学園漫画”はなぜハマる?

 人は誰しも、自分の知らない世界に興味を持つものだ。そしてそんな欲求を満たしてくれる漫画ジャンルがある。それが“仕事系学園漫画”だ。「週刊少年サンデー」にて連載中の、主人公が防衛大で生き抜く姿を描いた『あおざくら』や、2014年には映画化もされた農業高等学校を舞台とした『銀の匙』などが代表に挙げられる本ジャンル。そこで本稿では非日常の日常を描いた、仕事系学園漫画の魅力を紐解いていく。

 「防衛大学」や「農業高校」。名前は聞いたことがあっても、両校での生活の詳細を語れる人は、世の中に多くないように思う。つまり何と言っても本ジャンルの1番の魅力は、未知の世界を客観的に楽しめる点だ。

『あおざくら 防衛大学校物語 』1巻(小学館)

 幹部自衛官を育成する目的で運営される、防衛大学校を舞台とした作品『あおざくら 防衛大学校物語 』。主人公の成績優秀な高校3年生、近藤勇美が進路の選択を迷っている場面から本作は始まる。勉強が好きな勇美だったが、実家の定食屋が苦しく就職の選択を余儀なくされていたのだ。そんな勇美に担任教師から、1つの提案が舞い込んでくる。その提案とは、「受験料・学費・入学金が全てタダ、入学した段階で国家公務員となり毎月手当が貰える」防衛大への入学だった。

 恥ずかしい話だが、筆者はこの事実さえ全く知らず、読んでいた際にこの場面で一気に引き込まれたのを鮮明に覚えている。そして学びながらお金を稼げる防衛大への進学を決めた勇美だったが、入学後は想像を絶する険しい日々が彼を待ち受けていた。

 防衛大学には、「厳しい」という何となくのイメージを持っている人も多いだろう。しかし本作ではその厳しさや理不尽さが、事細かく「なぜ実施するのか」まで忠実に描かれている。また「後輩の必要物品を先輩が奢る」「上級生が出払った日に開催される“ホテル小原台”」「名物の棒倒しには事細かい戦術がある」など、一般的には触れることのない興味深い側面も、しっかりと作品内に落とし込んでいた。

 作者である二階堂ヒカルは自身のTwitterにて、何度も取材のため足を運んだと話しており、これらの事象は全て事実に基づくものである。こうした未知の世界に触れる作品作りは、読者の好奇心を掻き立てる。

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