『名探偵コナン 緋色の弾丸』でも大活躍! 大人気キャラ・灰原哀の軌跡を考察

灰原哀はコナンと“運命共同体”

「黒の組織との再会」(第24巻)

青山剛昌『名探偵コナン』24巻
青山剛昌『名探偵コナン』24巻

 登場以来、初めて灰原が黒の組織と邂逅するエピソード。街中で組織の幹部格であるジンの愛車・黒のポルシェ356Aを見かけたコナンと灰原。車内に盗聴器と発信機を取り付けたところ組織の暗殺計画を知ることとなり、ふたりはその阻止を試みる。

 このエピソードでは組織への恐怖に怯える灰原にコナンがお守りとして自分の眼鏡を譲る描写が印象的だ。まっさらな背景に灰原に眼鏡を掛けるコナンのふたりのコマは99巻ある『名探偵コナン』史の中でも最も美しいショットのひとつだろう。更にこのメガネを貸すという何気ないエピソードがその後のストーリーの大きな伏線になる、というのも前述した青山剛昌らしいストーリーテリングだ。

 さらにこの回は灰原が幼児化した姿から元の姿に戻る貴重なエピソードでもある。コナンは度々新一の姿に戻っているが、灰原が元の姿に戻るのは長い『名探偵コナン』の歴史の中でもこのエピソードを含むたった2回だけだ。灰原好きとしては絶対に押さえておきたいエピソードだろう。

 今回は灰原が登場して間もないながら、その後のストーリーに大きく関わる重要なエピソードを中心に紹介した。この後、灰原は回を追うごとに人間らしくなり、コナンの相棒としてもますます力強い存在に成長していく。また、彼女らしいクールさの内に秘めたキュートな一面もますます表出していく。そんな彼女の変化にもぜひ注目してほしい。

■ふじもと
1994年生まれ、愛知県在住のカルチャーライター。ブログ「Hello,CULTURE」で音楽を中心とした様々なカルチャーについて執筆。Real Soundにも寄稿。

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