『かしましめし』は読むだけで“食事欲”が満たされる? 信頼できる相手と食べる食事の大切さ
美味しそうな料理の緻密さ
『かしましめし』でキャラクターの魅力はもちろんのことだ。何よりこのマンガで重要な描写は料理の湯気や香りが漂ってきそうな美味しそうな料理の緻密さだ。『かしましめし』1巻1話に収録されている「包まないギョーザ」で私の胃袋は掴まれた。
① ホットプレートにギョーザの皮を並べ、具を乗せる
② その上に好きなトッピング(チーズ・ツナなど)を重ねる
③ 下に敷いてあるギョーザの皮の端を内側に折り、上にギョーザの皮その2を被せる
④ 蓋をして水を少々足して蒸し焼きにする。そして空いたスペースで次のギョーザを作る。
ほぼ毎回話、おかざき真里の丁寧なレシピが載せられており、読むたびに食欲がそそられる。そして何より、千春、ナカムラ、英治の美味しそうに食べる表情は、私も友だちと一緒に食べたい! と思わせる。ホットプレートで焼いたアツアツの餃子を息を上げながら、私も食べたい。一緒に食べる優しい友人とくだらなかったり、楽しい話題に花を咲かせたい。
やはりおいしく楽しい食事の時間は、かしましいのかもしれない。『かしましめし』は2021年6月現在、4巻まで発売中であり、祥伝社の月刊「FEEL YOUNG」にて連載中だ。
■柳ヶ瀬舞
フリーライター。ユリイカやWebマガジンで、サブカルチャーや文芸作品についてのコラムを執筆。趣味で小説を書いている。Twitter:@yanagase_mai
■書籍情報
『かしましめし(4)』
おかざき真里 著
定価:1,012円(税込)
出版社:祥伝社