のろいのカメラ、人間製造機、どくさいスイッチ……『ドラえもん』トラウマ級の“怖い”ひみつ道具を検証
悪魔のパスポート
「世界一の悪者になる」と宣言し、ドラえもんの四次元ポケットを手を突っ込んだのび太。そうして手にしたのは「悪魔のパスポート」というもの。ドラえもんは「それさえ見せればどんなに悪いことをしても許される恐ろしいパスポートだ」と焦る。
悪魔のパスポートを持ったのび太は「世界征服を企てることもできる」と笑い、「まずは小さなことから」と、家の金を盗む、ゴミを散らかす、ジャイアンを殴る、しずかちゃんのスカートをめくる、本を盗むなどやりたい放題。
ところが家に帰ってきたのび太は突然良心の呵責にさいなまれる。そして本の代金を払い、ドラえもんと一緒にゴミを片付け、盗んだお金も翌日のお小遣いから返すと言い出す。ドラえもんはそんな彼に「君が悪者になろうなんて無理なんだよ」と声をかけた(13巻)
どくさいスイッチ
ジャイアンにいじめられ激怒するのび太は「あいつさえいなければ。どこかに引っ越してくれないかなあ」とつぶやく。
そんなのび太にドラえもんは「ふうん、そんなふうに考えるの。じゃあやってみる?」と、どくさいスイッチを取り出す。これは未来の独裁者が開発したもので、自分が気に入らない人間を消すことができる。
ドラえもんは「邪魔なものは消してしまえ。住み心地のいい世界にしようじゃないか」とささやく。迷うのび太だが、ジャイアンに殴りかかられると、スイッチを押し、消してしまう。
消されたジャイアンのことをしずかちゃんや先生、そしてジャイアンの母に聞くと、認識すらしておらず、まさに歴史から抹消されてしまっていた。自棄になったのび太は「何もかも消えてしまえ」と発言し、偶然ボタンを押す。すると世の中の人すべてが消えてしまった。
世の中の人が誰もいなくなってしまい、絶望するのび太は「ジャイアンでもいいから出てきれくれ」としょんぼり。するとドラえもんが「気に入らないからって消していくときりのないことになるんだよ」と声をかける。これは、独裁者を懲らしめるための道具だったのだ。(15 巻)
「悪」も描かれた作品
『ドラえもん』には楽しいだけの世界だけではなく、便利なひみつ道具を悪用する愚かさや、危険性などが描かれている。そんな示唆に富んだ内容が、国民的漫画として親しまれる要因の1つかもしれない。