『SLAM DUNK』安西、田岡、金平……大人になってからも響く、名監督たちの教え

『SLAM DUNK』監督たちの魅力を解説

 それはあの、他校の監督たちからも一目置かれている名将・安西も例外ではない。かつては「白髪鬼(ホワイトヘアードデビル)」の異名をとり、スパルタコーチとして恐れられていた彼は、当時の教え子・谷沢龍二をめぐるある不幸な“事件”をきっかけとして、大学バスケの世界からは身を引いていた。そんな安西に再び熱い想いを奮い起こさせてくれたのが、桜木や流川楓ら湘北高校バスケ部の面々だったともいえるのだが、単行本の第29巻――その桜木と流川の頼もしい姿を見て、彼は思わず過ぎし日の教え子に向かってこう語りかけるのだった……。

おい……
見てるか
谷沢……
お前を超える逸材が
ここにいるのだ……!!
それも……
2人も同時にだ……

 そう――この“逸材”たちを育てるために、かつて「白髪鬼」と呼ばれた男はまだまだ止まるわけにはいかないだろう。彼自身わかっていることだとは思うが、人生もまた、「あきらめたらそこで試合終了」なのである。

■島田一志
1969年生まれ。ライター、編集者。『九龍』元編集長。近年では小学館の『漫画家本』シリーズを企画。著書・共著に『ワルの漫画術』『漫画家、映画を語る。』『マンガの現在地!』などがある。Twitter

■書籍情報
『SLAM DUNK(7)』
井上雄彦 著
定価:1,026円(税込)
出版社:集英社

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