『呪術廻戦』の「渋谷事変」はなぜ長期化した? 2つの理由を考察
とはいえ、ネット上などでは「長かった」という声も少なくない。では、同編はなぜこれだけの長編になったのだろうか。様々な理由が考えられるが、ここでは2つの理由に言及したい。
まず1つ目は、人気キャラの多くが死亡・負傷しているためだ。死者は七海を始め、直毘人、甚爾、漏瑚、花御、陀艮、美々子・菜々子、重面、負傷者は伏黒、釘崎、真希、狗巻棘、パンダ、伊地知潔高、東堂と、かなりの人数だ。しかも、いずれも過去にも登場した人気キャラたちのため、それぞれの背景を描く必要がある。さらりと終わらせては読者も納得、共感しづらいだろう。故に自ずと長くなるというわけだ。
2つ目は、呪術師側がしっかりと反撃するためだ。振り返れば、脹相を除き呪術師側にダメージを与えた呪霊はほぼ返り討ちにあっている。七海、直毘人、真希を攻撃した漏瑚は宿儺によって消されている。伊地知を襲撃した重面は七海に攻撃されるが、復活。だが、後に宿儺に斬殺されている。七海を殺害し、釘崎に重症を負わせた真人はもちろん虎杖に追い詰められる形となった(最後は夏油に取り込まれてしまったが……)。
絶対的強さを持つ宿儺に依るところは大きいが、ダメージを与えられっぱなしではない、救いのあるストーリーになっている。呪霊側をやり込めて形勢逆転させる流れこそ、少年漫画の真骨頂なのだろう。
「渋谷事変」編を読む時は、ぜひ一気読みすることをおすすめする。あのテンポとスピード感を味わってみてほしい。まずは漫画を味わいつつ、同作の骨子となりそうな「渋谷事変」がアニメ化されるのを待ちたい。