34歳童貞無職引きこもりニートを救ったヒロインの行動とは? 『無職転生』が描くトラウマからの復活
2021年1月にはTVアニメ化も果たしたファンタジー作品『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』(KADOKAWA)。小説投稿サイト「小説家になろう」の累計ランキングにて5年以上1位を保持する記録を樹立した本作は、すでに2クール目のアニメ放送も決定している現在大注目の作品となっている。そこで本記事では2クール目の放送に先駆け、TVアニメ第1クールを振り返りながら『無職転生』の魅力について紹介していく。
“34歳にして童貞無職で引きこもり”。読むだけで胸が苦しくなるスペックだが、これが本作の主人公のありのままである。そんな中、主人公はトラックとの交通事故をきっかけに、意識はそのまま剣と魔法の世界へ転生を果たす。ルーデウスと名付けられた無職の中年。ルーデウスは魔法に興味を持ち、欠かさず特訓をするようになる。そして美人な母と人気者の父に育てられたルーデウスは、次こそは本気で生きていくと誓うのだった。
異世界転生作品では、『この素晴らしい世界に祝福を!』や『Re:ゼロから始める異世界生活』など引きこもりの主人公は珍しくない。だらしない主人公が奮闘する姿は見ていて面白く、俗に言う「俺TUEEE」展開だけでなく、ギャグ展開にも持っていきやすいのだ。しかし本作で特筆すべき点は、主人公の前世がニートの“中年”である点だろう。
高校生の引きこもりであれば更生できる希望があるが、34歳ともなればその状況は深刻である。そこからの「異世界転生」、高校生が楽しく魔法を覚えるのとは訳が違う。そして主人公の苦悩を表すように、作中ではいじめでのトラウマなど少々重い内容も扱われた。転生してもなお様々な壁にぶつかりながら、それを努力で乗り越えるルーデウス。重い悩みを抱えた主人公の前向きに生きる姿が読者の共感を誘うのではないだろうか。