山口乃々華が語る、E-girlsとして生きた“心の記憶” 「リスペクトし合っているからこそ、それぞれの決断を尊重できた」

山口乃々華が語る、E-girlsの記憶

 山口乃々華が初となるエッセイ『ののペディア 心の記憶』(幻冬舎文庫)を2月4日に刊行した。本作は2019年3月から2020年12月まで、女性誌『GINGER』のWEBサイトに公開された連載をまとめたもの。自身の心に残っているキーワードについて「あ」から50音順に並べ、日常の小さな喜びや不安、そしてE-girls解散の裏話などを等身大な文体で表現している。

 昨年は映画『私がモテてどうすんだ』でヒロインを務め、女優としても活躍。グループとしての活動を終え、自分自身の新しい道を突き進む。彼女は今どこを目指して走っているのだろうか。今回は著作や連載・執筆の背景を切り口に、これからの活動も含め、山口に話を聞いた。(小池直也)

恥ずかしさも「私が生きてきた証」

――実際に出来上がった本を手にした心境はいかがですか。

山口:感動しました。ずっと書き続けてきたものが本になったことが嬉しいですし、E-girlsから離れて出す初めての作品が『ののペディア』なのが感慨深いですね。タイミングも良いし、ありがたく思っています。納得のいく文章で本にできて本当に良かったです。もしかしたら将来、「恥ずかしい」と感じる部分もあるかもしれませんが、きっとその恥ずかしさも「私が生きてきた証」と思えるはずです。

――思ったことをスマートフォンに書き留めていたことが今回の連載につながったとのことですが、その習慣はいつから?

山口:E-girlsの頃から3年間ほど日記を書いていた時期がありました。そこからですね。

――連載のタイトルが決まった経緯は?

山口:色々な候補がありましたが『ののペディア』が一番楽しそうだったし直感で決めました。他にも私は花が好きなので、他のE-girlsのメンバーを花に例えた小説チックな企画もありましたが、少しハードルが高いなと。だから日々の気付きを書き留められる、この形が良いなと思いました。

――執筆がコロナ禍と重なりましたが、そのなかで感じたことなどがあれば教えてください。

山口:昨年2月29日、3月31日の『E-girls PERFECT LIVE 2011▶2020』の東京公演が中止になった時は「どうなってしまうんだろう?」と不安でした。

 あと家にいるときは書くことが無くて悩みましたね。家に居ても何も生まれない、でも締切は近づいてくるし……。だから、とにかく本を読みました。山田詠美さんや江國香織さん、角田光代さん、田口ランディさんとか。

 ただ緊急事態宣言が出てからの2カ月くらいは「ライブが待ってる」という意識があったし、メンバーとTikTokリレーをやったり、オンラインで会議をしたりしていたので孤独感はありませんでした。ファンの方の反応も嬉しかったので、とても感謝しています。

――もともと本は結構読まれるんですか?

山口:時間をかけて読むタイプです。E-girlsには文武両道の人もいますが、私はどうしてもダンスレッスンに偏りがちで勉強ができていなかったんです。それを心配した作詞家の小竹正人さんが「本が教科書だと思って勉強しなさい」と読書を勧めてくれて、そこから少しずつ読めるようになりました。

 多分インタビューなどで言葉が出てこないのを見て「言葉を知りなさい」と言ってくださったんだと思います。深く何かを考えたり、表現したいことがあると自ずと言葉も出てくると思うのですが、それはダンスと同じかもしれません。気持ちが強いほど観ていただいている方も感動するのかなと。

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