『GIGANT』長嶋はなぜブリーフを履いているのか? 散りばめられたオマージュ/パロディを紐解く

『GIGANT』オマージュ、パロディの魅力

 なんてこった。まさか1巻ですでにこれだけの伏線を張っていたとは……。しかも未来人がETEの存在について語るくだりでは、わざわざパピコにドラえもんのことを喋らせることによって、読者の思考をドラえもんに集中させることで、ドラゴンボールへ思いが巡らないように自然に誘導している。もっとも、別にセル編のパロディ、オマージュと知られたところで特に害があるわけでもないのだが……。そうなってくるとこの作品は単にパピコと零のピュアな愛の行方だけに注目するのではなく、藤子不二雄のS.F、ウルトラマンなどの特撮、ドラゴンボール、ほかにどんなオマージュ、パロディが含まれているのかというのを探す楽しみも出てきてしまった。たぶん改めて1巻から読んでいったら初見では発見することのできなかったネタが、まだまだそこかしこに散りばめられているのかもしれない。

 最後に、ETEの存在を語る上で一つのキーワードになるのがどうやら「シンギュラリティ」になるのではないか。昨年放送していた『仮面ライダーゼロワン』にも出てきたワードであるから、近年耳にする機会も多くなっているし、知っている方もいるだろう。割と我々の身近にも迫ってきている話ではあるので、興味がある人は調べてみることをおススメする。

■関口裕一(せきぐち ゆういち)
スポーツライター。スポーツ・ライフスタイル・ウェブマガジン『MELOS(メロス)』などを中心に、芸能、ゲーム、モノ関係の媒体で執筆。他に2.5次元舞台のビジュアル撮影のディレクションも担当。

■書籍情報
『GIGANT(7)』
奥浩哉 著
価格:本体660円+税
出版社:小学館
公式サイト

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