任侠BL『囀る鳥は羽ばたかない』過激な描写でも支持される理由とは? 矛盾に満ちたキャラの“人間味”

任侠BL『囀る鳥は羽ばたかない』過激な描写でも支持される理由とは? 矛盾に満ちたキャラの“人間味”

トリガー・百目鬼との関係性の変化に注目を

『囀る鳥は羽ばたかない(6)』

 “自己矛盾”に苦しみながらも、そんな素振りを一切他人に見せない矢代。そんな彼のもとにやってくるのが、百目鬼だ。彼は性的不能という、矢代とは正反対の存在として描かれる。

 性的な興味しか抱かれることのなかった矢代にとって、誘惑に欲情せず、かつまっすぐに自分という人間に関心を向けてくる百目鬼は、心地よい存在となっていく。矢代は、百目鬼にだけは拗ねるようなあどけない怒りの感情をあらわにしたり、膝枕のような性行為ではない触れあいをしたりと、心を許しているような言動を見せる。さらには百目鬼が性的不能になったきっかけである家庭の問題にも、世話を焼くのだ。

 本来矢代は、部下には手を出さないというルールを決めていた。にもかかわらず百目鬼には手を出そうとするし、明らかに関心を示していることが分かる。なにより百目鬼から一度怒りの感情を向けられた時に、興奮を覚えていた。きっと矢代は、自分の存在が誰かの感情を揺さぶれたことに喜びを覚えたのだと思う。きっとこれは、影山への執着にも共通するものがあるだろう。

 これまで徹底して自分の本音に蓋をしてきたように見える矢代。そんな彼の本音を引き出すトリガーとなるのが、百目鬼だろう。実際にシリーズ6巻を読み進めるごとに、思いがけず自分の中にある矛盾を暴かれたり、本心を引き出されたりして戸惑う矢代の姿が増えていく。そんな彼の姿に、若頭でもドМでも変態でもない、“人間らしさ”を感じるのだ。

 『囀る鳥は羽ばたかない』は現在6巻まで続いている。2020年3月1日には新章が描かれる最新7巻が発売予定だ。矢代と百目鬼の関係性の変化から、ますます目が離せない。

■クリス
福岡県在住のフリーライター。企業の採用やPRコンテンツ記事を中心に執筆。ブログでは、趣味のアニメや漫画の感想文を書いている。ブログTwitter

■書籍情報
『囀る鳥は羽ばたかない(1)』
ヨネダコウ 著
価格:713円(税込)
出版社:大洋図書
公式サイト

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