『呪術廻戦』虎杖悠仁×伏黒恵は”最高のバディ”だ 新しい形のライバル関係を考察

『呪術廻戦』虎杖×伏黒は”最高のバディ”

 だが、虎杖を伏黒にはこれらのライバル・戦友関係と微妙に違った関係性があるのだ。というのも、最初から2人は互いに認め合い、素直な感情を言動に表していた。例えば、虎杖が宿儺の指を食べてしまった後、五条から「彼をどうするべきかな」と問われた伏黒は、「……仮に器だとしても 呪術規定にのっとれば 虎杖は処刑対象です でも死なせたくありません」ときっぱり。さらに、「…私情?」という問いには、「私情です なんとかしてください」と出会って間もない虎杖へ何かを感じているかのような発言をしていた。

 英集少年院では、補助監督の伊地知潔高へ「もしもの時 俺にはアイツを始末する責任があります」と言い、宿儺と命がけで戦っている。その中で虎杖を助けた理由として「オマエ(虎杖)の様な善人が死ぬのを見たくなかった」と言っており、それを受けた虎杖も「伏黒は頭がいいからな 俺より色々考えてんだろ オマエの真実は正しいと思う でも俺が間違っているとも思わん」と相手を否定するでも、自分を否定するでもなく享受する様子が見えていた。これは、出会って時間が経っていなくともお互いを認め、信頼関係が築けていることの表れではないだろうか。

 さらに、この2人からは「最高のバディ感」も感じられる。「渋谷事変」で粟坂二良と2人が戦っているシーンを見て、ワクワクしたのは筆者だけではないはずだ。ピンチの状況でも2人一緒ならば心強く、「大丈夫だ」となぜか安心できる。だからこそ、真剣な戦いの場において茶々を入れ合っていても特段違和感はなかったし、結果相手の術式を見抜くこともできた。虎杖のポテンシャルとパワー、伏黒の経験値と頭脳が組み合わさることで、格段上の敵にも匹敵する力となると予感させられるのだ。

 さらに虎杖本人ではないが、無敵の存在である宿儺が伏黒に興味を持っているのも面白い。現在の「週刊少年ジャンプ」では、虎杖にとっても伏黒にとっても苦しい状況が続いているが、まだまだ2人の関係性は進化していきそうだ。「渋谷事変」という長編が終わった時、どんな絆が生まれるのか楽しみである。

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