中村哲医師の功績がアフガニスタンで絵本に 日本版はさだまさしが翻訳を担当

中村哲医師の功績がアフガニスタンで絵本に 日本版はさだまさしが翻訳を担当

 アフガニスタンの医療支援や砂漠緑化に取り組むNGO「ペシャワール会」現地代表の中村哲医師が、2019年12月4日支援先のアフガニスタンで凶弾に倒れた。この悲しい事件をきっかけに現地NGO「ガフワラ」のザビーフ・マハディ氏は今春、同国における中村医師のこれまでの支援の功績を絵本化。

 絵本の制作費は、株式会社フェリシモの「LOVE&PEACE PROJECT」が基金付きの商品を販売し、購入した方から集まった基金から拠出されている。出来上がった絵本『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』を、双葉社が日本国内でも出版することが決定した。

 日本版の絵本は、アフガニスタンで制作された2作の絵本の翻訳に解説を加え1冊にまとめたもので、本書の売り上げの一部はガフワラとペシャワール会へ寄付される。

 本書収録のうち1作は、シンガー・ソングライターであり、小説家のさだまさしが翻訳。中村医師の活動を尊敬し‶いつかお目にかかれると思っていた″と、生前直接対面することは叶わなかったさだが、手紙を書くつもりで綴ったという追悼曲『ひと粒の麦~Moment~』について知った編集部が協力を仰ぎ、実現した取り組みだ。

 中村医師の志を受け取ったアフガニスタンの人々の思い、またアフガニスタンに寄せられた日本からの思い、2つの思いがひとつの形になった絵本となっている。

■書籍情報
『カカ・ムラド〜ナカムラのおじさん』
著者名:ガフワラ(原作)、さだまさし他(訳・文)
予価:本体1,500円+税
発売日:2020年12月4日(※予定)

■中村哲(なかむら・てつ)プロフィール
1946年福岡県生まれ。医師、ペシャワール会現地代表、PMS(ピース・ジャパン・メディカル・サービス)総院長。国内の病院勤務を経て、84年パキスタン北西辺境州、現在のカイバル・パクトゥンクワ州の州都ペシャワールのミッション病院ハンセン病棟に赴任し治療を始める。そのかたわら難民キャンプでアフガン難民の一般診療に携わる。89年よりアフガニスタン国内へ活動を拡げ、山岳地帯医療過疎地でハンセン病や結核など貧困層に多い疾患の診療を開始。2000年から、干ばつが厳しくなったアフガニスタンで飲料水・灌漑用井戸事業を始め、03年から農村復興のため大がかりな水利事業に携わる。19年12月4日、アフガニスタンにて凶弾に倒れる。享年73。(写真提供/西日本新聞社)

■さだまさしプロフィール
1952年、長崎市生まれ。シンガー・ソングライター、小説家。73年フォークデュオ・グレープとしてデビュー。76年ソロ・シンガーとして活動を開始。『関白宣言』など数々のヒット曲を生み出す。音楽活動のかたわら、小説家としても『解夏』『風に立つライオン』などを発表。2015年、一般財団法人「風に立つライオン基金」を設立(17年、公益法人として認定)。様々な助成事業や被災地支援事業を行っている。20年5月発表のアルバム『存在理由〜Raison d’être〜』では、中村医師への追悼の気持ちを込めた曲「ひと粒の麦」を収録した。
オフィシャルサイト:https://masasingtown.com/

■PMS(ピース・ジャパン・メディカル・サービス、平和医療団・日本)/ペシャワール会
ペシャワール会は1983年9月、中村哲医師のパキスタンでの医療活動を支援する目的で結成された国際NGO(非政府組織)。PMSは現地事業体。当初、ハンセン病の治療に取り組んでいたが、2000年の大干ばつ時の感染症患者急増をきっかけに、清潔な飲料水の確保にも取り組むようになる。さらに自給自足が可能な農村の回復を目指し、農業事業にも取り組んでいる。現在は、ペシャワール会の村上優会長が、PMS総院長を引き継いでいる。
ペシャワール会について:http://www.peshawar-pms.com/

■ガフワラ
アフガニスタンのNGO(非政府組織)。2016年、日本に留学していた代表のザビ・マハディが滞在中に設立。「ガフワラ」は現地の公用語のひとつダリ語で「ゆりかご」を意味する。日本の絵本や児童書にふれ、自国の子どもたちの情操教育のためには良質な絵本が必要だと感じ、帰国後、本格的に活動をスタートさせる。これまで、オリジナルの絵本の制作や海外作品の翻訳を多数手がけ、学校などの施設に広く配布している。
ガフワラについて:https://gahwara.com/

■LOVE & PEACE PROJECT (株)
フェリシモがスタートさせ、現在は傘下の(株)Cd.が運営するプロジェクト。2001年9月11日にアメリカで起きた悲しい事件の中、お客さまから届いた一通のメールをきっかけに「世界中のこどもたちにしあわせな未来を」というメッセージがプリントされた一枚の基金付きTシャツを販売。7万人を超えるご注文に広がり、ニューヨークとアフガニスタンの親を失った子どもたちの支援活動に基金を拠出。以降、毎年9月11日に基金付きアイテムを販売し、集まった基金を紛争地域や被災地域の子どもたちへの支援活動に拠出している。
LOVE & PEACE PROJECT について:https://www.haco.jp/landp/index.html

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