『BLEACH』は日番谷冬獅郎の始まりの物語でもある 氷の中にある情熱の炎

日番谷冬獅郎の物語としての『BLEACH』

さまざまなビジュアルの変化も潜在能力の現れ

 冬獅郎は死神の姿以外にも、現世での制服・私服姿、「見えざる帝国」との戦いでは軍服姿、まさかのゾンビ化、また真の卍解を完成させた際には大人になった姿も見せた。ビジュアルの変化は読者としても楽しいところだが、これは冬獅郎のポテンシャルの高さの現れでもある。現世に派遣された際はほかの隊員たちの監視役となる、責任ある立場だからこそこれだけの様々な姿を見ることができるのだ。

 また、真の卍解を得たことで大人の姿になることは能力の成熟も現す。身体が未熟なままでは完成された卍解「大紅蓮氷輪丸」は扱えない。だから、真の卍解を解放させたときには「少し老ける」のである。藍染や破面との戦いではどこか「惜しい」場面が多かった。それが最後の最後で本領発揮となった。『BLEACH』の長い戦いは終わった。しかし、十番隊隊長・日番谷冬獅郎の物語はまだ始まったばかりなのかもしれない。

(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))

■書籍情報
『BLEACH』(ジャンプ・コミックス)74巻完結
著者:久保帯人
出版社:株式会社 集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/bleach.html

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「漫画」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる